営業時間延長に効果があるならここまで収益は悪化していないはずでは?

どうも南です。

政府が、金曜日は午後3時に会社を終業するようにしてはどうかというプランを出しています。3時に終われば余暇が増えて消費が増えるのではないかという考えから出ていると思うのですが、それによって労働時間が短縮される官公庁やデスクワーク型の企業と、そうではない販売型の企業の間では、さらに休日数の格差が広がり、従業員への負担が増えるだけではなく、販売・接客業が一層の不人気職種になることが考えれらます。

消費者利益の追求の名のもとに、販売・接客業の営業時間がこの15年間で飛躍的に増えているわけですが、早朝から深夜まで開店している大型スーパーや郊外型ショッピングセンターは掃いて捨てるほどあります。百貨店もファッションビルもそれに追随して営業日数を増やしました。例えば、元旦からの営業や21時閉店などです。

しかし、その結果、売上高は増えたのでしょうか?

イオンやヨーカドー、ユニーなどの大型スーパーは軒並み苦戦していますし、百貨店も売上高の減少が止まりません。ファッションビルにテナント出店しているアパレルも多くは苦戦傾向です。はっきり言って、営業時間の延長は収益面では何の効果もありませんでした。もし効果があるなら、ここまで各社が苦戦していませんよね。

2005年ごろまでは営業時間の延長は効果があったかもしれませんが、2010年代に入ってからはまったく効果がありません。なぜならネット通販が普及したからです。

ネット通販なら早朝でも深夜でも自宅や電車の中から買い物ができます。残業で疲れている深夜に体を引きずって服を買いに来る消費者は今ではほとんどいません。どうしても欲しい服があるなら、帰宅途中の電車の中か、自宅に着いてからネットで購入します。残業の後で店に駆け込むという消費スタイルは2008年までで終わっていると考えるべきでしょう。

そんな中、三越伊勢丹が30分の営業時間短縮を打ち出し実施しました。大西洋社長の大英断だといえます。

ファッションに特化した百貨店の中でも特にファッションに特化している三越伊勢丹なので、大西社長の改革の多くはファッション的見地に立ったものと言えます。ファッショニスタではないぼくにとってはそれが良いのか悪いのかはわかりませんが、とっつきにくい施策だと感じることが多いです。しかし、各施策の中で、営業時間の短縮と定休日の復活、それから元旦と1月2日の休業は実に良い施策だと個人的に評価しています。

今期、三越伊勢丹ホールディングスの決算は苦戦中ですが、百貨店各社も苦戦しており、三越伊勢丹だけが特筆されることでもありません。仮に営業時間が以前のままだったとして決算内容が良かったかと問われると、おそらく現在と変わらなかったのではないかと答えます。現に、営業時間が以前のまま、もしくは営業時間を延長した各百貨店も今期の決算では苦戦中なので、何の効果もないことが逆にわかります。

「営業時間を減らしたら、どこで売上高を増やせば良いんだ?」と激怒される昭和脳の人もおられるかと思いますが、それこそネット通販に誘導すれば良いのです。すでに百貨店各社や大型スーパーも重い腰を上げてオムニチャネルに取り組んでいます。それをさらに積極的に活用し、ネット通販へ顧客を誘導すれば良いのではないでしょうか。

たかだか「1時間」で販売員のスキルを上げる方法。http://topseller.style/archives/1117

営業時間の短縮について、経営陣や外部からの意見はこれまでいろいろと出されてきましたが、販売員の側から意見が出されたことはあまりありません。それだけにこの意見は貴重で、業界は真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。

せっかくネット通販に取り組んだのですからもっと積極的に活用して、販売員の負担を減らすべきでしょう。そうしなければ販売員の人員確保は今後さらに難しくなります。

それでよければどうぞ営業時間延長にこだわってください。

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南 充浩
About 南 充浩 34 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿

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