2017春夏、あなたはトレンドに上手く乗れるか

xusenru / Pixabay

こんにちは、森野です。

先日、いつもの道を一本それたら、梅の花が満開でした。新しい季節の足音を感じます。

アパレル販売員のみなさんは、そろそろ春服を揃えないといけない時期ですね。

販売員が店頭で着用して表現できるトレンドと、お客様が日常に落とし込めるそれとの間には、大きなギャップがある場合がほとんどです。

売れるアパレル販売員、頼りにされる販売員は、トレンドを自身のスタイリングでしっかりと表現しつつ、お客様それぞれにフィットするボリュームでトレンドをコーディネート提案できる人です。

ではどうしたら、情報を上手に噛み砕いて、お客様の「トレンドは気になるけど…損はしたくない!」に応えられるかを考えてみましょう。

そのアイテムが「一発屋」で終わるかどうかを見極める

注目アイテムとしてあちこちで取りあげられていたけれど、次シーズンに着用していると「この前流行ったやつだ…」という視線を感じてしまうものを「一発屋」としましょう。シーズンを春夏、秋冬で分けたときに、春に流行って秋には終わってるアイテムのこと。

損したくないお客様は、せめて1年間は使いたいはず。

購入の際店頭で販売員から「黒だし、ずっと使えますよ」なんて言われて買ったお客様は、この視線によって「今年はもう使えない…だまされた!」となるわけです。

このあたりについては先週、南さんがTopsellerのブログで触れていました。→http://topseller.style/archives/1799

流行らせ方に脈絡の無いものはだいたい一発屋で終わる

16SSの一発屋代表は、ウィメンズで流行らされたレースアップのパンプスだと思います。
足の甲からひもを交差しながら編み上げて、足首あたりで結ぶアレです。なんのこっちゃ?の方は、〈レースアップパンプス〉で検索してください。

そもそも15FWのGUCCI(アレッサンドロ・ミケーレ)のコレクションで、素肌の透ける花柄のキャミソールに、アコーディオンプリーツの膝下丈のスカートを合わせたその足元に、登場しています。

ここであらかじめ整理すると、2015年2月25日(水)ミラノで発表されたGUCCIのコレクションで使われたパンプスにヒントを得た(似せた)商品が日本の市場でも2015年9月頃から浸透し始めます。そして2016年の年明けには Next trend として急浮上、2016年の春先には街中でたくさん見かけるようになりました。しかし夏がきて気温の上昇とともに影を潜め、秋になったら誰も履いてなかった、という流れです。秋も履けたら一発屋ではなかったのですが、そうはいきませんでした。

なぜでしょうか?パンプス自体は悪くないと思いますが。

決してGUCCIが外したわけではない

このパンプスが2016年の春先に日本で流行り始めた頃、雑誌等で見かけるコーディネートはなぜか一様にして、細めのジーンズやワークっぽいパンツ、もしくは流行りっぱなしのガウチョパンツとのものでした。
実際、街で履いている人たちもそんな感じでしたよね。

私には、足元だけが浮いて見えていました。だからこれは一発屋になると思って買いませんでした。
理由は、次の通りです。

このパンプス、バレエダンサーのシューズみたいではありませんか?
こんなイメージです。

ちょっと解説します。
バレエダンスのコスチューム「チュチュ」は、透け感のある素材でギャザーがたっぷりとられていて、GUCCIが提案したルックと並べたとき、素材感やスカートの形状に共通点があることが分かりますでしょうか。
一般的な印象として、チュチュからは、コスチューム然とした強いインパクト、少女性、制服のようなトラッド感などが受け取れます。
そこに対して、チュチュの形に遠くないアコーディオンプリーツのスカート、肌の透けるキャミソール、トラッド感たっぷりの丸眼鏡とベレー帽というミケーレの合わせは見事です。

これがなぜ、
一体どうしたら、
アメリカの労働の象徴であるジーンズとのスタイリングで流行ると思いますか?

ガウチョパンツなんて、アルゼンチンのスパニッシュ系カウボーイの民族衣装ですよ?カウボーイ is 男子!

アイテムというピースだけ所持しても、トレンドのパズルは完成しない

アイテムのルーツや奏でる雰囲気を無視し、なんの関係もないものと合わせるのは「ハズシ」でも何でもありません。アイテム単体が目新しいから注目されるだけで大変「雑」です。

今回も最初にインフルエンサーみたいな人がジーンズ合わせをやったんでしょうか。でも、定着しなかったのは、人々から見てイケてなかったから。

「私にはファッションなんてわからない」なんて顔して、皆さん無邪気で残酷。ピンとこないから真似しないのです。

だから、秋までは流行らなかった。

おそらく、2016年秋冬に日本でアコーディオンプリーツの膝下丈のスカートもしくはそれに近い雰囲気のスカートをもっと流行らせることができていたら(売られてはいた)、前述のパンプスは秋も履けたはずでした。
しかしご存知の通り、マスキュリンやワイドパンツのトレンドが強く残り、フェミニンなスカートに振りきれなかったのです。これは、結果的に業界が選択した道。パンプスを買ったお客様はとばっちり。

これを裏付けるように、同じ15FWのGUCCIのコレクションで登場していた毛足の長いファー付きのローファーは、マスキュリンの流れに乗り、16FWでもバリエーション豊かに展開され、そこそこ流行っていましたよね。中には、靴じゃなくて靴下にファーをつけるブランドまで出ていたくらいです。ローファーはメンズファッションから来ていますから、マスキュリンにはまるのは自然です。

時代を読もう。歴史を知ろう。

ファッションは時代の色を濃く反映し、形を変えながらも繰り返します。世界の人々の文化や、生活に根差した背景のあるアイテムだってたくさんあります。そういうものが、フォーカスされてトレンドになったとき、そもそもの背景を知っていて連想するイメージを言葉に出来れば、冒頭の「噛み砕く」作業はそう難しくありません。

とりあえずジーンズと合わせてどうぞ!というおすすめと

どういうものだから、こういう感じで合わせていくと失敗しないですよ、というおすすめを

使い分けられるようになりましょう。

最近「センスは知識の積み重ね」などと言われるようになりましたが、その知識とは、こういう知識のことだと私は思います。

小難しいでしょうか?
でも勉強してみたら?
歴史は、変わらないけど、未来は変わるかもしれない。

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森野 咲
About 森野 咲 39 Articles
1979年横浜市生まれ 販売員歴17年 現在、フリーランスの販売員。 TopSellerブログ火曜日担当。 たまに空間コーディネート業。 たまに業界誌に寄稿。 幼少期はお花屋さんかケーキ屋さんになりたかった。 職歴は、国内大手SPA婦人服・雑貨店舗にアルバイト→契約社員→正社員と進み、店長3年、統括店長4年。統括店長時代に、垣根を越えた生産性の最大化の方法を提案し社長表彰を受ける。 シアトル系カフェチェーンにてアシスタントマネージャー2年。外資系の育成法とサービスを学ぶ。 震災を機に、もう一度洋服屋の販売員を志し転職、某セレクトに入社、5年ほど勤務。アウトレット店にてメンズを担当、インポートからオリジナルまで、売れ残り商品の顛末を知り、モノをカネに変えることの難しさを知る。コレクションブランドのトランクショーのヘルプ、プロパー店のイベントヘルプ、物流センターの業務なども関わり、新店OPEN時にはスタッフ育成に出向く。 35歳のとき年齢面で販売員を諦めて一旦退くが、ふとしたことで派遣社員として某ラグジュアリーに配属。3か月後にはショップ内売上No.1、派遣でありながらも受注会の顧客アテンドを経験。 この頃、twitter上でTopSeller主宰の四元氏と出会う。東京駅地下で四元氏とおうどんを食べながら、独立する決意をした。

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