わたしはファッションを「悲観」しない

「アパレル業界はゆっくりと自殺している」

散々聞いてきた言葉だと思うのですが、わたしはいまいち腑に落ちていない部分も多いこの言葉。似たような言葉はあちこちでPV数を獲得しているように思います。

わたし自身が業界の中にいるからこんなにも大きな声で聞こえてくるのかもしれませんが、まったくもって腑に落ちていないのです。「売り上げが前比・昨対で悪いから」という言い分は耳にしますが、まず人口減少により日本経済自体が縮小していく傾向にあるのに昨対ばかり見ていても、正確な予算設計はできない気がしますが・・・・と先日も話をしてきたのですが。

市場原理が働かなくなって淘汰がなされない方が業界にとってはマイナスであり、ファッションそれ自体がもつポテンシャルを発揮できなくさせる・・・ような気がしないでもない。

こういう真面目な話は、他の先輩たちにお任せしていきたい気持ちで胸がいっぱいなのですが、今日はこれだけはどうしても言いたいと。どうしても言いたいと!!!思い!!!勇気を!!出しています!!

えー、こほん。

 

ファッションは最高のスパイスである。

ファッション業界の人間として、そしていち消費者として、これだけは伝えたいこと。ここで書かせていただくにあたっても、わたし自身何より伝えたいことがこれなんですけれども、あ、お待ちください・・・左上の戻るボタンとか押さないで・・・。

もう本当に、完全なる持論なのですが、ファッションの素晴らしさというのは、先人たちも多くの言葉を残してくれています。それでも、いまこうして日本のアパレル業界は厳しいと、つまらないと、言われてしまっている。

わたしはそれに対して「本当にそうなのか」を一度考えてみたい。

ファッションはいまも、多くの人たちに愛される一大産業であり、「購買」を通して人をワクワクさせる力を持っています。なのにどうしてそこで「ファッション」自体が悲観されているのかがわたしにはさっぱりわからないのです。

「ファッション」という文化が古くなっているのではなく、企業の「経営」が古くなっていると考えるのが妥当だろうと思うわけです。ご存知のユニクロや、新進気鋭のアパレル企業も成長を見せています。

なのでそこで「おしゃれをすることがむしろダサいという風潮がある」とかそういう話になってくるとそれはどこ情報や・・・という気持ちが隠しきれません。大手企業の売り上げが立たないこととそれはイコールではない。むしろしっかりとデザインされたファッション企業の方が売り上げを取っている。

さらにこれだけ業界が疲弊しているといっても、身銭を切ってブランドを立ち上げるデザイナーも後を絶ちません。やはりそこには、いまファッション業界に足りないと悲観されている要素の一つ、SNSやテクノロジーを使いこなした人たちも多くいます。そんな業界が本当に悲観するほど先がないのか。

 

過去ではなく、どれだけ先を照らせるか。

あちこちで目にする、「ファッション・アパレル業界は自殺している」「若者はおしゃれをしない」「ファッション業界の終焉」などなど、言いたいことは言いたい放題であるというのは日本国憲法第21条によって保障されているので存分にやっていいと思うのですが、この「悲観論」に対してわたしは、「ファッションは楽しく、手放しで愛せるほどハッピーで人を幸せにすることができる産業であり文化だ」と言いながらこの業界にいたいと思っています。

現在のアパレルの状態がいままでやってきた結果だというのはまさしくその通りで、大手が軒並み苦しんでいるという現状にはぐうの音もでないのですが、それでも、それを「何か」のせいにしていませんか。

見えない過去の「何か」。わからないけど「誰か」。

何と戦っているのか、過去の栄光と戦っているのか。私たちの世代まで来るともうバブルを経験していないのでわからないのです。わたしたちは作れば売れる時代を見ていない世代です。

もう一ついうと黒の衝撃もカラス族も見ていません。

もう過去を共有しながら「昔はこうだったよね」を共有できる世代ではない。新しいもの新しい未来を見せて、アパレル業界のイメージをアップデートしていきたい。「過去のように」戻すのではなく、アップデートしていきたい。明日からの話なら、どんな世代とも共有ができます。

beautiful peopleがパリに進出し、ANREALAGEもパリでショーを行い、それをライブストリーミングで観ることができる。snidelは開店早々月予算並みの売り上げを叩き出す。こんな時代だからこそ、ファッションはもっと楽しくなる。

もっと多くの人をこの沼にひきずり込みましょう。

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 20 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。

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