この春、ファッション業界を目指すみなさんに

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今日はファッション業界にこれから入ろうと目指しているみなさんに、数年だけ先にその沼に沈みかけている私から笑える思い出話も含めて読んでもらえたらと思います。まずこれを書こうと思ったきっかけを文字数確保のために書かせてください。

 

先日読んだとある雑誌でメイクアップアーティストの方にお悩み相談できるコーナーがあり、「よい化粧品とわるい化粧品の見分け方ってありますか?」という質問が寄せられていました。サロンでヘッドマッサージをうけてヘロンヘロンになっていたところで、何の気無しに目を通したもので一瞬見過ごしそうになったのですが、そのメイクアップアーティストの方の回答がまた秀逸で「世の中に”悪い化粧品”はありません」とおっしゃっていました。

 

私「たしかに。」

 

肌に悪いとわかっていて発売するような代物はないという前提のもと消費行動は成り立つし、時に過失はあれどどんな商品も作り手がしっかり向き合いながら作っているものに変わりはないのであって、そこに「いい」「悪い」は存在するのか。

職業上商品を作る・サービスを作るという環境に立ち会いやすいのでたまに耳にする言葉があるのですが、それは「いいのもを作っていれば必ず売れるはず」という言葉です。その度にわたしは「いいものってなんですかね」という内容を振るのですがだいたい「なんだろうねえ」とふんわりしていってしまいます。

ものづくり信仰がまだ根深く残る日本において、決定的に欠けているのが「ビジネス」の観点だということはもう様々なところで言われています。「いいもの」ここでは「消費者にとって役立つもの」(としておきます)を作るというのは製造業である以上大前提であり、そこで戦っていても差別化とは程遠く、さらに商品と情報があふれた現代では届けたい人にも届かないものになってしまうのだとひしひし感じています。

この問題に関してはバブル経済を経験してきた現状役員の世代にとって「マーケティング」というのは無縁のものだったため「作れば売れる」の受動的経営が定型化してしまったとか、そもそもファッション業界の人間はビジネスについてしっかり学んでない。という言葉がグッサグサ刺さるわけなんですが・・・。(昔本当によくファッション業界に来るやつなんて馬鹿だとファッション企業の社長から言われたものです。)

しかし、この悪循環に若い人たちを巻き込むというのはまったく良くない。というのは私が専門学生だった頃から感じていたものでした。

 

教育現場と社会の大きなギャップ

 

これからファッション業界に進もうと思うみなさんに、少しだけ先輩として伝えておきたいのは「インターンでもバイトでもいいから現場に立ってみること」です。

学校で評価を受けたり、コンペで賞を取ることもとても素敵なことです。学園祭でセレクトショップを作って成功するのもとても有意義で大切なことです。素晴らしいアウトプットや自己表現、世界観、それらがファッション業界を楽しくしていることは間違いありません。でも「学校」は「学校」で「会社」ではないことを忘れないでください。

私は学校での評価が高かったわけでも、コンペで賞を取ったこともありません。当時私がいた学校でもやはり「賞をとる」生徒が花形であったような印象を受けました。私自身もとても羨ましく思いましたし、かっこいいなあ、すごいなあとワクワクしながらショーを見ていたものでした。まるでそういうデザインができなかったんです。わたし。

しかしある時コレクションブランドにインターンとして関わり始め、最初は雑用だった私もどんどん仕事を任されるうちにあることに気がつきます。「賞を取ったとしても商業である以上売れなくては意味がない」ということです。「賞をとったからって採らないよ(採用しないよ)」という言葉を聞いてめまいがしたのも覚えています。だってみんなそれを信じていましたから。

「売れなきゃ続かない」なんて至極当然のことですが、当時の専門学校の教育ではこれが完全に抜け落ちていました。

そして悔しいことに、周りの大学生たちはそんなことは「常識」として知っているわけです。

お金の回り方、商いの仕方、ビジネスの仕方。それは経済社会のなかで生き抜くには「服の作り方」より先に必要になるものといって間違いないのですが、何から手をつけていいかわからないほどその感覚が抜け落ちていました。

ここ数年で学校側のカリキュラムも大きく変わってきていると思いますので、当時よりは進んでいるかもしれないのですがそれでもアルバイトの学生さんたちと話をすると、受け身の教育だけでは不十分な感覚も否めません。

会社に入ってからの研修が充実した企業さんも確かにありますが、まだまだ即戦力が求められがちな業界です。

やはりなんらかの形で「将来就きたい仕事現場」に関わってみるというのがわかりやすい気がします。

 

「販売員から本社へ」問題

 

このTopseller.styleは販売員の方に向けたwebメディアなので、これには触れなくてはいけないかな。と思い偉い人に怒られるかもしれないと大きく深呼吸しながら書きますね。

Topsellerでもみなさん書かれてるように、この問題は確実にあります。

この年になって後輩から呼ばれて食事に行くと、「企画採用だったのに三年本部に上がれない。上がれた人もきかない。前にたくさんいるからいつになってもわたしの順番はこない気がする。」と涙ながらに訴えられたり「MD採用で研修感覚だと思っていたのに二年経ってしまった。」と頭を抱えていたりと、この手の相談が後を絶ちません。

聞くとだいたい大手、準大手が多く「そこかーい・・・・・」と愕然とすることも。

本社で企画をする前に顧客や店のことを知るため、販売研修をするというのは有効なシステムだと思います。しかし、それが形骸化している。正直、こんなにわたしに相談をくれる後輩がいるということは、これは氷山の一角どころか一欠片に過ぎないだろうと思っています。

しかし販売員になりたくて販売員として入る人ももちろんいらっしゃるわけです。Topsellerにも販売員としての自己ブランディングを確立している先輩がいらっしゃいます。販売員をやりたくて販売現場にいる方からすれば「本社招集待ち」の人たちで現場が溢れることが環境としていいかというと、いいはずがない。

(そもそも専門学校の就活指導部でそういう現実を聞かされなかったという子もいて就活指導の甘さにもびっくりしているのですが)これはアパレル業界の「経営体質の古さ」が現れ出てしまっているのかなと感じます。

近年の経営学では「従業員が力を発揮できないのは本人のせいではなくマネジメント(企業側)の問題だ」という考え方が浸透しています。この論に対しては賛否両論あると思いますが、この販売研修問題に関わらずファッション業界では「マネジメント」についてもまだまだ整っていない印象を受けます。

しかし今まで書いたことを悲観することなく、今後若いみなさんが変えていける余白が残っていると考えて、能動的に自ら考えて動く力さえつけばこの業界は最高に楽しいと心からお伝えできます。

自分の力で「不振」と言われる業界を、「古い」と言われる体質を変えていくことができる場所であるというのは、とてつもないやりがいがあります。それに報酬がついてくるかもみなさん次第です。

今年から新社会人となる方も、新入生となる方も、夢と現実をしっかり見つめて、ファッション業界を盛り上げていってほしいと思います。

ついつい少し長くなってしまいました。

それではみなさん、業界のこれからをどうぞ宜しくお願いします。

 

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 33 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。

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