良い物を作っただけでは売れません

アパレル業界というのは基本的に「作り手思考」「プロダクトアウト思考」で成り立っています。ですから、今でも「良い物を作れば売れる」と心のどこかでは考えているのです。

しかし、現在の店頭に「粗悪品」はほとんど存在しません。グローバルSPAの低価格ブランドはペラペラのタルタルみたいなどうしようもない「粗悪品」が並んでいることがありますが、国内ブランドの場合、いくら安くても極端な粗悪品はありません。逆説的な言い方をすると「ほとんどが良い物」なのです。

ですから、良い物を作るという行為だけでは今の時代は売れないのです。

そうなると、売れるためには「その良さ」を伝える必要があります。これが広報宣伝であり販促であり、店頭販売員の役割となります。

知られていないのは存在しないのも同然なのです。

「あの有名な商品と同じ価格で高品質」なんていう商品は実は業界にはたくさんあって、なのにそれらは売れていないのです。なぜなら知られていないからです。

例えば、夏向けの肌着としてユニクロのエアリズムが有名です。一時期ほどの売れ行きではありませんが、毎年安定的に売れています。

価格はメンズのトップスが1500円(税抜き)です。

昨年からはネック部分と袖口が無縫製なエアリズムシームレスを発売しました。袖の取り付け部分は縫っているので、シームレスという名前は正しくないと思うのですが。(笑)ただしくはエアリズムカットオフではないかと。

ぼく個人はこのエアリズムカットオフを買うことはありません。よほど、値下げされれば別でしょうけど。

なぜなら品質はグンゼの「YGカットオフ」の方が高いからです。しかも価格は同じ1500円(税抜き)。

ネックと袖口が無縫製の切りっぱなしであるのは同じですが、素材が違います。

ユニクロのは、ナイロン84%・ポリウレタン16%ですが、グンゼのは綿55%・ポリエステル30%・ポリウレタン15%となっており、綿の配合率がすごく高くなっています。

吸水性でいうと綿の方が基本的には合繊よりも高く、一概にはいえませんが綿の方が合繊よりも素材価格が高価である場合が多いです。

そういう意味では素材についてはグンゼの方が圧倒的に高品質だといえます。

しかし、売れ行きはエアリズムの方が圧倒的に大きいのです。この差はなんでしょうか?「良い物を作れば売れる」というのはこの例を見てもわかるように完全に誤りだとわかります。

エアリズムとYGカットオフの売れ行きの差は知名度の差から生じているといえます。

ですから、知ってもらうこと、良さを伝えることというのは、アパレル業界の皆さんが考えているよりもずっと重要なことなのです。そしてそれができる部署は広報宣伝と販促、それに販売員しかいないのです。

逆にいえば、販売員はもっと物作りのことについて学ぶ必要もあります。その知識がないと普通の声掛け接客しかできないからです。

販売員はそれほどの重要なポジションなのです。販売員の皆さんもブランド運営の本部ももっとそのことを自覚しなくてはなりません。

 

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南 充浩
About 南 充浩 39 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿

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