シンプルなユニクロが持つ「強烈な個性」

ユニクロの創業は1974年。

もともと、柳井さんが「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」(UNIQUE CLOTHING WAREHOUSE)というお店をやられていてそれを海外に登記する際、本来「UNI-CLO」で登記されるはずが「UNI-QLO」で登記した事がきっかけと言われています。もう!うっかりさん!!!!

そんなユニクロ、先日四半期決算の説明会が行われ、そこでの柳井さんのスピーチが見事でした。(そもそもお話が本当に上手なのでいつも読みやすく聞きやすくとても勉強になります。)

わたしもごくごくたまに真面目なツイートするのですが、記事全文はわたしが大好きな書き起こし記事を扱うメディア、ログミーさん(http://logmi.jp/)からどうぞ。

その中の投資・IR情報の書き起こしを行うログミーファイナンスさんです。勉強になる記事がたくさんありますので、お時間あるときに回遊してみてください。この発表のあとに行われた質疑応答も面白かったのでぜひ。

アパレルファッション業界におけるユニクロの存在感というのは、もはや無視できないものとなりました。このTopsellerでみなさん書かれているようにユニクロへの考え方は様々ですが、記事の冒頭でおっしゃっているコーポレートステートメント「服を変え、常識を変え、世界を変えていくのが我々の使命である」という部分。

こんな事をきっぱりと消費者に示してくれるアパレル企業、ないですよね。

 

ユニクロは「個性がない」か?

 

ストライプインターの社長は以前何かの番組で、柳井さんに「ビジネスは規模だ!」と言われて大型ショップKOEを展開するに至ったとおっしゃってました。そして今をときめくアダストリアも、取締役に元ファーストリテイリング取締役がいらっしゃいます。ファーストリテイリングの業界への貢献は著しいものがあります。

わたし自身もビシバシ動くお仕事の日や(わたしだって活動的になる事もあります!)寒い日のヒートテックやインナー類はユニクロさんにかなりお世話になっています。かといって四元さんも以前書かれているように(https://topseller.style/archives/737)好きでもないし嫌いでもなかったです。ここ数年は好みの商品に年に数回出会うので色と素材が好きなTシャツなどはまとめ買いしたりします

わたしたちものを作る人間は、プロダクトに個性を見出そうとしがちですが世の中は本当に変わったのでしょうね。

四半期決算の取締役の言葉(それも書き起こし!!)にこんな簡単にアクセスでき、発信できるわけですから。

上記の四元さんの記事で「本当に心からお客さんの問題を解決するコトを第一に考えている販売員は全体の半分しかいないかもしれない。」という言葉はそのままそっくり経営にも言えるかと思います。お客様の事、市場の事、売り上げの事を本気で考え、使命感に駆られてビジネスをしている(ようにアピールできている)アパレル企業が、他にあるのかということです。

 

ユニクロの個性、そして最も時代に合っていて新しいと感じる部分は「企業姿勢」だと感じます。

ユーザーのためにを貫き通し、「服」を通じて世界を変えてみせると本気で思っていなければここまでの躍進は絶対になかったという事はアパレルファッション関係者ならお分かり頂けると思います。世界を変えるほどのことを成し遂げるためには規模感やユーザー数も大きくしそのためには利益をあげなくてはなりません。そしてそれをさらに、新しい事に投資する。

(ユニクロがニーズに合わせてものを作ってるようにみえているならしっかり見直して欲しいのですが、積極的にウォンツの喚起を行っているので、商品力も引けを取らないです。しっかり失敗するところは失敗して次に生かしてますし。)

あ、たまには真面目なツイートもします!たいてい深夜か早朝なので半分寝てますが。

 

あらゆるものが見える化されているのが当然の時代

 

ユニクロは取引先の工場を公開したニュースはご存知でしょうか?と思ってニュース記事のリンク先を探そうとしたのですが上から三番目に南さんの記事が出てきて恐れ慄きました。

一応工場リストが公開されているページをここに。( http://www.fastretailing.com/jp/sustainability/news/1702281430.html

上述した企業姿勢しかり、この工場公開しかり、情報社会のこの最中さらに「見える化」は進んでいきます。これはある種幸せな事かもしれません。原材料や、その産地もブランディングという意味のカシミヤなどとはまたちがった情報公開がなされる日が近いと思います。

そしてその「ユーザーの未来を見据え先手を打つ」という企業姿勢は、いつの時代もあらゆる形で新鮮さを提供するために必要なマインドだと感じます。

「全てのアパレル・ファッション企業がユニクロのようになれ」とは微塵にも思いません。

しかし、デザイナーのアウトプットを重視し、それをどのように売っていくのか。それは市場・ユーザー・時代背景・環境など社会全体を広く見た上でトライしていかなくては、結局業界人とコアなファン相手の商売になっていまい、さらにシュリンクしてくのではないでしょうか。(それが目的であればそれもありですよね。届けたい相手に届いているなら。)

アウトプット同様にファッション・アパレルにおける全行程(つまり企画・生産・広報・販売などお客様が手にするまでの全行程)でのアプローチ方法にオリジナリティと時代感を持たせることの重要性を感じたニュースでした。

 

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。