ブランドの「濃さ」を維持しながら規模を拡大する事は可能か?

ユナイテッドアローズ、中・低価格帯業態に軸足移す

1週間ほど前のニュースですが、ユナイテッドアローズがGLR(グリーンレーベルリラクシング)やコーエンなどの中・低価格帯を強化するとの報道。僕の周りにもユナイテッドアローズ勤務の人は何人かいますが、好調だと聞くのはいつもGLRもしくはB & Yで、本体が良いとの話は最近ほとんど聞きません。会社として規模拡大していくなら当然の施策だと感じますし、自社の強みが成長過程において変化していくのも理解できます。しかし気になったのは下記の一文。

「『UA』ブランドはさらに濃さを極める。一方、ミッドトレンド、ニュートレンドでさらなる成長拡大を目指す」

という部分。中・低価格業態に軸足を移すのにも関わらずブランドの濃さを求めているのでしょうか?これは非常に難しいというか、はっきりいって無理だと思います。そもそもユナイテッドアローズはそのブランドの「濃さ」を維持する為に当初出店店舗の上限を24店舗に設定していたという経緯があります。

 その後店舗を増やさずに事業を成長させる為、1店舗の大きさを拡大。

 客層の幅が広まり、「濃さ」を求める顧客が離反。

業態を切り離し「B & Y」を発足。

確か、こういった経緯だったはずです。ここからは僕の個人的見解ですが、問題は「ユナテッドアローズ」という冠を外さなかった為、ブランドの濃さを維持する事ができなかったのでは?という事です。これがGLRもB&Yもそれほど大きくならなければ問題なかったと思います。しかし規模拡大しすぎた場合はどうしようもない事でしょう。Topsellerメンバーの南充浩氏も自身のブログでおっしゃられていますが、

高感度高価格帯セレクトショップの成長には限界がある

高価格帯衣料品の拡大には限界点が絶対にある。 富裕層の人口には限りがあるし、貧しい人は憧れても収入的に買うことが難しい。到底1000億円企業の成長エンジンになるはずもない。客単価面からも人口面からも。

規模拡大には中・低価格帯強化に踏み切るしかない。しかし高感度のまま規模拡大する事は需要面から見ても難しいのです。ラグジュアリーのように革小物をメインで売るビジネスであるならまた話は別ですが。

 

「濃さ」を維持しながら規模拡大はできないのか?

どの程度の規模を拡大というかはわかりませんが、ブランドの「濃さ」を維持しながら会社規模を拡大した例で言うとコムデギャルソンがそうではないでしょうか。年商は200億円程度かと思われますが、その規模の割にはブランドの個性が突出しています。個性的なラインを複数作り、そのどれもが規模を追っていない。唯一例外はプレイくらいでしょうか。コムデギャルソンについてはそこまで詳しくないので語りすぎると信者に怒られそうですが(笑)

ユナイテッドアローズは「濃さ」を追求するのであれば、中・低価格帯強化は矛盾する戦略。規模を追うのは当然として、「ユナイテッドアローズ」を高感度セレクトショップとしてのアイデンティティーを失わずにどう運営していくのか、今後注目したいと思います。

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深地雅也
About 深地雅也 51 Articles
ラグジュアリーブランドのリテール管理と全国セレクトショップへのホールセール担当を経て、起業。高級衣料品、ミセス、ヤングカジュアル、などの経験を基に、ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。

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