「正しさ」だけでは人もモノも、動かない

先日本当に数年ぶりに「気づいたら人の家で寝ていた」という飲みっぷりを披露してしまった中溝です。

大きな仕事の締めが終わり、ふっと気が抜け、いろいろと話せるスタートアップの方々と飲むとついつい楽しくて。という言い訳もちゃんとあるんですけど、あ、お布団ありがとうございました。(ちゃっかり布団で就寝していた)

 

さて、大きな仕事というのはやっぱり商品づくりだったりするのですが、それは組織作りも大きく関わるプロジェクトとなることも多いのです。

というのも、ある商品を新しく作ろう、となると、あらゆる人が関わります。

もちろんチームというのは3人より10人の方が、さらに10人より20人の方が、マネジメントが難しくなります。

先に断っておくと

わたしは商品作りにおいての「ディレクターは嫌われ役」であったり、

マネジメントにおいての「マネージャーは嫌われ役」という考え方が、苦手です。

ある種それは真理で、言いにくいことを伝えたり、時には注意をしたり、駄目出しをするシーンもありますが、はっきり言ってこれを当のディレクター・マネージャー本人が言っているチームがうまくいってるの見たことないなあ、という印象。

でもチームがうまくいかないと、商品作りもそうそううまくいかないですよね。

 

 

「正しい」という保険

「嫌われ役」とはいうものの、それって感情的になったり人を力任せにコントロールしようとするがゆえの保険にしてしまいそう。

ありがちなのが「正しさ」で押し切ること。

日本人は右向け右の文化。まだまだその要素は抜け切れません。「常識」や「正しさ」が大好きで、しかもそれはそこで思考停止を招く楽な判断基準。

でも商品開発や企画、ブランディングにおいて「正しい」は「危険」

「最適化」されることはあっても「正し」くはない可能性が数%残っていればそれは「正しくはない」のであしからず。

マネジメントなんてもってのほかだということは、言わずもがな。

(義務教育のテスト以後、いかなる環境でも「正しい」ものなど一つでもあったかとむしろ聞きたいくらいなのですが)大抵の場合、自分の意見に「正しい」以外の説得の言葉を持たない人が振りかざす印象

いわゆるそういう時「正しい」は保険です。

文法的に正しい、理論的に正しい、常識的に正しい、社会人として正しい。。

大抵が自分のものさしでしかないのに、世間一般の話にすり替えてしまう。

「正しさで人は動かない」というのはマネジメントにおいて有名な言葉ですが、

「共感には理屈よりも納得が必要だ」と続くこの言葉の通り、「正しい」からといって人は動かないし、同様に「正しい」からモノが売れるわけでもありません。

 

「正しさ」だけを追ってしまうと、出来上がる商品にも余白がなく、それは今の緩やかなライフスタイルを好む風潮にも合っていないと言えるでしょう。

(キャッチコピー作る時に、伝わりやすさや響きよりも、細かな文法優先しますか?)

マネジメントは商品に反映される。逆に言うと商品にもたらす空気のためにマネジメント・組織構造は流動的であるべきではないかと最近考えています。

 

「正しくはない」ことを恐れない

作り手陣、そして時にマネジメントされる側、する側の人間となる個人として思うのはこれ一択で。

これを怖がっていると、もしくはこれを怖いと思う組織環境をつくると、新しい意見なんぞ生まれません。

新しい意見が出ない以上、新しい環境、企画が生まれることもないでしょう。

前例がないこと、新たな切り口でものをつくること。その時に疑うべきは「いま正しいとされていること」であり、「常識のようにいわれていること」

私たちは多分、常日頃から「常識」とされるものに違和感を感じていますし、「正しい」とされていることに感覚レベルで理にかなっていないことを認識しているはず。

それは消費者が感覚レベルで購買する時に確実に作用しています。

だから売れない。正しいこと=ときめきをくれるわけじゃないんですよね。

ですので、殴り合いになってでも反論してきましょう。

(意訳:説得するだけの材料を持っていきましょう。)

不確定要素を多く盛り込んだ新しい提案ほど、そういった方々から多くご指摘を受けますが、その指摘をちゃんと真に受けて取捨選択する技術が必要です。

ちゃんと真に受ける。

これは大切にしています。

目の前にいる「正しさ」を振りかざす人は、典型的な消費者の一例。

その人の「常識」を覆す「共感」と「納得感」にこそ、新しいものの意義はあると思いませんか?

それではおなかも空いてきたのでこれにて!

 

 

 

 

 

 

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。