数字だけを見て失敗した経営者たち

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アパレル業界には「感覚派」の人が多くいます。

数字はまるで苦手だという人が驚くほど多くいます。
講師を務めている専門学校でも10人中4人は「数字を見ただけでめまいがする」というほどです。
数字嫌いの比率はなんと半数近いのです。

そういう生徒が卒業後にアパレル業界に入るわけですから、感覚派が減ることはありません。

しかし、その一方でときどき「数字」のみに基づいて施策を決める経営者もいます。こういう場合はまた、代替が失敗に終わります。

例えば、以前に神戸コレクションの常連だったあるレディースブランドがありました。2010年ごろまでは好調でしたが、そのあたりから売上高が悪化し始めました。

しかし、会社としては、アウトレットが好調だったのでそれなりの業績を維持していました。

ところが、2012年ごろだったと記憶していますが、その会社の社長が「正規店を全廃して、アウトレットだけにしよう」と言い出したのです。理由は、正規店の売上高が悪くてアウトレット店の売上高が好調だったからです。

「数字」だけを見ると、好調なアウトレットに集中することは正解だといえますが、正規店のないアウトレットブランドがいつまでも支持されるでしょうか?

アウトレットは正規店があるから、ブランドとして支持されるのです。
さらにいえば、アウトレットのみになると、アウトレットと言いながら、それ向けに生産された商品だけで店頭を埋めることになりますから、アウトレットでもなんでもなく、単なる正規店になります。

この経営者は「数字」だけを見て物事の本質を見なかったのです。

当然、このブランドはアウトレットも含めて廃止になりました。

また、別のチェーン店は銀行出身の経営者でした。

ここも本体が悪く、アウトレットモールにではなく、通常の商業施設に別店名でアウトレット業態を出店しました。自社のアウトレットだけでなく、他ブランドのアウトレット品も仕入れて売っていたようです。

そうするとこれが好調だったので出店ラッシュとなり、一時期は40店舗くらいあったと記憶しています。その当時、聞くところによるとこの銀行上がりの経営者は、「好調だから、全部をアウトレット業態にする」と社内で息巻いていたそうですが、結局、このチェーン店は経営が悪化する一方で、最終的には身売りをして、この経営者は引退しました。

これも「数字」だけを見て「本質」を見ていなかったせいです。

本体をすべて廃止して全店をアウトレットにすれば、それはアウトレットといえるのでしょうか?
それはアウトレットではなく、単なる安売り業態です。

単なる安売り業態ということは、ユニクロやジーユー、ウィゴーなどと同等で競争するということになります。

そんな寄せ集めの商品では到底勝てません。

「数字」は重要ですが、数字を重視しすぎてもこういう失敗をおかすことになります。
数字と感覚、この両立なくしてアパレルの仕事は成り立ちません。
くれぐれもご注意ください。

【TopSellerの執筆者が書く「表では話せない話」はこちら→トプセラ×note

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南 充浩
About 南 充浩 68 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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