優等生販売員がやってしまう、不愉快な親切

スポンサーリンク
congerdesign / Pixabay

こんにちは、森野です。

先日、外資系保険会社のお客様相談室にお勤めのお客様とお話しする機会がありました。

お勤め先を明かしてくださったのはお会計の段階でしたので、それまでそうとは知らずに応対していたため少し驚きました。

色々なお客様がいらっしゃるものです。

前半はもちろん商品のお話をしていたのですが、クロージングのあたりから、どうも様子が違います。お客様の質問やお話が商品からズレていくのです。話の軌道を修正しても、また外らされます。

お客様が私に喋らせようとしている、何か試されているような、そんな意図を感じました。

とにかく上級の敬語で話せばいいというものでもない

お客様はお勤め先を明かされた後にこんなお話しをされました。

「仕事柄、色んな話をするんだけど、ちょっと一筋縄じゃいかないことも多くてね。不愉快な親切って、知ってます?」

私は、どこかで聞いたことがあったか、なんとなく想像がつきましたので、そんな反応をしました。お客様は時折時計を気にしながら、こう続けます。

「隙のない敬語が使いこなせればソツなくやれるってもんじゃないんですよね、人の気持ちって」

私はお包みをしながら大きく頷きました。

お客様はさらに続けます。

「わかるでしょう?『さようでございますお客様、おっしゃる通りでございます』そんな非の打ち所がない受け答えしてると、そんな話がしたいんじゃないって言われちゃう」

私は言いました。

「形式張った言葉のやりとりになると、本音が言いにくくなりますものね」

感受性が豊かなお客様は、優等生型の接客より、あなたの本心で動く

実はこちらのお客様、売場にフラッと立ち寄ったところで私につかまってしまいました。(笑)

おそらく、目的ではなかったけど、買ってもいいかな、そんなふうに思える商品を前に、だいぶ早い時点でどれかは買うことを決めていらしたと思います。

お客様は私に、飼い猫の話、今は亡き飼い犬の話、仕事の持ち物の話、いつも困ること等々、色んな話をしながら、私のリアクションや答えにひとつひとつ採点をするような表情で聞いていらっしゃいました。

飼い猫さんの画像は、高級品種ということもあってとてもキレイでした。亡き飼い犬さんもぬいぐるみみたい。そんな反応で返していた私に、お客様は聞きます。

「犬と猫、どっちが好きですか?」

私は答えに一瞬詰まりました。実は私、動物との触れ合いが少し苦手なのです。大型犬になると、かわいさより怖さが先に立ってしまいます。

人は、手の内、心の内を見せてくれた相手の言うことは信用しやすい

嘘をついてここで話を合わせてもムダなので、正直に気持ちを言いました。犬や猫に限らず、動物を画像で見るのは本当に可愛いと思うけど、いざ触れるとなると、苦手なんですと申し訳なく思いながら伝えました。

するとお客様は、「いいんですよ、いいんですよ。人には色々いるんだから、無理に合わせることなんて無いんです」と、なんだか嬉しそうです。

そういう感じのやりとりをいくつかの話題で交わしたのちにお客様は、さて、といった様子で、「コレとコレ、どっちがオススメですか?」と尋ねられました。

販売員に口先だけで勧められて、口車に乗せられた出費がお客様は一番悔やしい

ペットをとても愛しているお客様からの、「犬と猫、どっちが好きですか?」という質問に、私は一見がっかりさせるような回答を正直にしました。

でもそれは、逃げられず苦し紛れにそうなったのではなく、お客様の様子を見ての判断です。

こちらのお客様、ファーストアプローチの時から知的な印象のある方でしたが、ご自分がお話しされるときに必ず目を閉じられます。

話しながら目を閉じる心理にはいくつかありますが、この方の場合は、視界を遮ることで自分の発言に集中したいものと判断しました。この場合、裏を返せば目を開けていると自分が話したいことを話し切る自信がないという心理状態です。

つまりお客様は、会話の展開をご自分のリードで進めながら、私がその場の口先だけでお客様に話を合わせるようなことをする販売員かどうかジャッジをしたのだと思います。

そして最終的に、商品に対する客観的な意見を求め、私が「お客様にはこちらがオススメです」と言った方を買って行かれました。

日頃から頭と心を使ったサービスを説いている私ですが、ここまでの心理戦は久しぶりでしたので、勉強になりました。

お客様との会話って、本当に面白いですね。

【TopSellerの執筆者が書く「表では話せない話」はこちら→トプセラ×note

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

スポンサーリンク
森野 咲
About 森野 咲 72 Articles
1979年横浜市生まれ 販売員歴15年 現在、フリーランスの販売員。 TopSellerブログ火曜日担当。 たまに業界誌に寄稿。 幼少期はお花屋さんかケーキ屋さんになりたかった。 職歴は、国内大手SPA婦人服・雑貨店舗にアルバイト→契約社員→正社員と進み、店長3年、統括店長2年。統括店長時代に、垣根を越えた生産性の最大化の方法を提案し社長表彰を受ける。 シアトル系カフェチェーンにてアシスタントマネージャー2年。外資系の育成法とサービスを学ぶ。 震災を機に、もう一度洋服屋の販売員を志し転職、某セレクトに入社、5年ほど勤務。アウトレット店にてメンズを担当、インポートからオリジナルまで、モノをカネに変えビジネスを回すことの難しさを知る。コレクションブランドのトランクショーのヘルプ、プロパー店のイベントヘルプ、物流センターの業務なども関わり、新店OPEN時にはスタッフ育成に出向く。 35歳で一度販売員を辞めたが、ふとしたことで派遣社員として某ラグジュアリーに配属。3か月後にはショップ内売上No.1、派遣でありながらも受注会の顧客アテンドを経験。 この頃、twitter上でTopSeller主宰の四元氏と出会う。東京駅地下のスタバでコーヒーを飲みながら、販売員として、独立してやってみる決意をした。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*


CAPTCHA