百貨店の低迷から学ぶソフト強化の重要性

三越伊勢丹HDが新中期計画で掲げる「ネット通販強化」の現実味

成長戦略の柱として掲げたのが、事業のデジタル化だ。カード会員や得意先の顧客情報を一元化し、顧客の特性に応じた広告の配信、ハイエンド客向けのネット通販や宅配サービス、さらには取引先との商品の在庫情報の共有などに取り組むという。 

(中略)

 「ネット通販で集客するためには、リアル店舗の充実が不可欠」(アパレル大手幹部)といわれる。三越伊勢丹HDには幸い、基幹3店という拠点が残っている。デジタル化の推進を生かすためにも、まずは、基幹3店の強みにさらに磨きをかけることが先決ではないだろうか。

三越伊勢丹の新中期計画が発表され、webを強化する方向性との事。別の記事で語られていたのは、ZOZOTOWNに近いビジネスモデルだと。確かに百貨店とZOZOTOWNに代表されるようなECモールのビジネスモデルは似ています。ECモールでは委託での販売が多くを占めていますが、これは百貨店の消化仕入れと「在庫リスクを負わない」という点で一致しています。そしてどちらも代わりに集客を司るという点も一致。ですので百貨店をwebに落とせばそのままECモールのビジネスに似るというのは理解できます。

 

問題は集客力と販売力

では何故現在両者に差ができてしまっているのか?それは今の百貨店には衣料品における集客と販売が弱いからです。上記の記事の通り、「基幹3店の強みにさらに磨きをかける事が先決」とあるように、そこが弱いからwebに手を出しても売れないのではないでしょうか。(新宿伊勢丹は例外かもしれませんが。)ZOZOTOWNは委託商売がメインですが、そこに商品を放りこむだけでブランド側としてはリアル店舗1店舗では到底たどり着けないほどの売上をたたきます。だからこそブランドも在庫リスクを承知でZOZOに商品を提供するのです。しかし百貨店ECの現状を見ますと、どう見ても集客できていなさそうなものばかり。これではまずブランド側に在庫を確保してもらうところから難しい。いきなり手広くやろうとするからこのようなほころびが出てくるのです。

 

まずは自前でコントロールできるところから手をつける

ではどうすればいいか?百貨店では一部ですが、買取で運営されている店舗があります。それが「自主編集売り場」と言われるものです。まずはそこを看板にし、ブランディングから運営・集客していくのです。そこで結果が出れば自ずと次のステージに向かえます。独自性が欲しければPBを強化するという事も考えられます。伊勢丹では「ナンバートゥウェンティワン」というPBもある事ですし、これで独自性も担保できますね。つまりリアルだろうとECだろうと必要なのはこういった「ソフト面の強化」です。

ファッション業界人によくありがちなのですが、webを導入したらすぐ売上につながると思っているかたが非常に多い。結局は商品が良くなければ売れませんし、需要がないのにEC始めたりなんかすると自殺行為です。特に百貨店の場合、ソフトを強化する事が中長期的に見てブランド力強化につながるのではないでしょうか。

まあJフロントリテイリングのように、「百貨店としての価値」ではないところに業態転換するのも一つの手ではありますが…。百貨店の雄である三越伊勢丹には百貨店としての価値を貫いてほしいところです。

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