買ってもらいたければ、お客様を説得する必要はない

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epicantus / Pixabay

こんにちは、森野です。

最近、デール・カーネギーの著書『人を動かす』を再読する機会がありました。最初に読んだのはかれこれ14、5年前で、初めて店長になったときです。

当時、全然関係が上手くいかなかった7つ年上の店長が退職し、サブだった私が繰り上がる形で店長になりました。まだ23、4歳で若かったですし、サブの時からすでに年上の先輩が複数下にいる状態で、何かと人間関係については余計な心配の多い時期でした。

『人を動かす』は、非常に学びが多い本です。私の言葉でまとめると、相手の出方は自分の出方次第で(コントロールできる)、言葉は知恵を持って使うべきで(言いたいことを言うのではなく、どう伝えたら伝わるか)、それらをマスターすると上手くいく、ということが書いてあります。

元々コミュニケーション下手な私にとっては、ポイントを知っただけで常に実行できるような簡単なものではないのですが、このことはいつも頭の中に置いてあって、自身のコミュニケーションを省みるきっかけにしています。

そして今回の再読で、私がこの本に影響を受けて以来、接客時にずっと心掛けてきているいくつかのことに気が付きました。今日はそのうちのひとつを書きたいと思います。

お客様を説得しない

お客様に買ってもらいたいとき、説得はしません。お客様にはご自分で決めていただくのが一番です。

やるべきことは、納得させる材料を揃えることです。

例えば、お店で扱う白シャツが20,000円で、お客様が5,000円の白シャツと悩んでいると分かったとき、販売員のあなたはどうしますか?

生地の良さ、仕立ての良さ、形の良さ、ブランドの価値、この辺りの商品説明は誰もがすることだと思います。そして、「だから20,000円の方を選ぶべきだ」という結論に持ち込むのです。

しかしこれは、説得です。説明して同意を得ようとしています。

この場合、販売員が説く「良さ」が自分にとって、差額の15,000円に匹敵する価値があると思えなければ、お客様はきっと5,000円の方を選びます。しかも、とても納得して選びます。「悩んだけど色々説明を聞いて、やっぱり今回は5,000円の方でいいなと思いました。販売員さん、色々ありがとう。ごめんね」といったように。

お客様を説得できるのはお客様本人だけ

ではどうすれば20,000円の白シャツを買ってもらえるでしょうか。

5,000円のシャツの存在を知っているのになぜ20,000円のシャツと悩んでいるのか?その理由に注目し、その答えを適切にあてがっていきます。

お客様に質問したいことは、「なぜ、あなたは今ここで、20,000円のシャツと5,000円のシャツで悩んでいるのですか?」です。

このままではストレート過ぎますが、様子を伺いながらお客様の心理情報を集めるのです。

上手くいけば、「実は、いつもどおり5,000円のシャツでいいかとも思うのだけど、来月30歳になるし、ちゃんとしたシャツを持っていてもいいかなと思っていて、ネットで調べたらここのシャツは良いって書いてあって、でも違いがよく分からないから、実際に見にきたんだけど、やっぱりよく分からない…」というように、悩んでいるポイントを教えてもらえます。

その上で、「なるほど、そうなんですね、ネットにも書いてあったかも知れませんが、良いシャツの見分け方はこういうところで…(中略)そうなっていると、着たときにこういう良いところがあって…(中略)、もしお客様がこういう風に見られたいとか普段のシャツでこういうところが気になっているようでしたら、こちらのシャツなら、それが叶って解決しますが、いかがですか?」という答えを提案します。

人は、自分で決めたことを信じる

「コレいいよ、コレ買いなよ、こっちの方がいいに決まってる」と言われると、「簡単に言わないでよ、買うのは私でしょ、最近出費がかさんでいるし、来月だって予定が色々あるし」と、お客様はそれを買わないもっともな理由を探し始めます。

一方、「そういうことなら、コレを使うのはどう?きっとこんな風に良くなるんじゃないかな」と言われると、「本当だ、たしかにそうだね、ちょっと高いけど、試してみる価値はありそうだ」と、買うことを肯定し始めます。

こうして自分で自分を説得する作業がなされると、断れなくて仕方なく買ったとか、その場の勢いで買ったとかではなく、きちんと判断して買った気持ちになるので、お客様の中ではより「間違いのない商品」という位置付けになっていきます。

何に納得する人物かは知らないと分からないから、接して察することが大切

このように、人は自分で自分を説得するものなので、他人がどうこうする必要はありません。納得させればいいのです。

ただし、人によって解決したいことや納得するポイント、価値観は様々ですから、そこを外さないように見極める必要があります。

それを察知できたら、あとはそこに響く材料を出来るだけ出して、何が最適かを考えていただきます。

そうしておけば、たとえその場では買わなくても、あとあとまた戻ってきて買ってくださいます。

 

ちょっと長くなりましたが、以上が、戻ってきて買う人が多い私の接客の理由と、返品・クレームが少ない理由です。

もし、『人を動かす』を読んでみたい方がいらっしゃれば、緑色の表紙のものより黄土色の表紙の方(2016出版)が加筆が少なくて読みやすいので、おススメしておきます。

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森野 咲
About 森野 咲 88 Articles
1979年横浜市生まれ 販売員歴15年 現在フリーランスの販売員。 TopSellerブログ火曜日担当。 業界月間誌に執筆中。 幼少期の夢はお花屋さんかケーキ屋さんになること。 経歴は、国内大手SPA婦人服ブランドにて店長3年、統括店長2年。統括店長時代に、垣根を越えた生産性の最大化の方法を提案し社長表彰を受ける。 シアトル系カフェチェーンにてアシスタントマネージャー2年。外資系の育成法とサービスを学ぶ。 震災を機に、もう一度洋服屋の販売員を志し転職、某セレクトに入社、4年半ほど勤務。アウトレット店にてメンズを担当、インポートからオリジナルまで、モノをカネに変えビジネスを回すことの難しさを知る。コレクションブランドのトランクショーのヘルプ、プロパー店のイベントヘルプ、物流センターの業務なども関わり、新店OPEN時にはスタッフ育成に出向く。 35歳で一度販売員を辞めたが、ふとしたことで派遣社員として某ラグジュアリーに配属。3か月後にはショップ内売上No.1、派遣でありながら受注会の顧客アテンドを経験。 この頃、twitter上でTopSeller主宰の四元氏と出会う。独立決意を固め、現在に至る。

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