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AFFECTUSの新井茂晃(@affectusdesign)です。

新型コロナウィルスの影響により、6月と7月に開催されたロンドン・ミラノ・パリ各都市の2021SSメンズファッションウィークは、オンライン形式での発表に移行しました。その流れは今月9月に開催されるウィメンズファッションウィークでも継続されます。

メンズではほとんど開催されなかったファッションショーですが、観客数を絞る・オンライン限定で配信などの対策を取りながらもウィメンズでは開催するブランドが増加します。2021SSシーズン、最大の注目を浴びると言ってもいいミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)による「プラダ(Prada)」も、ファッションショー形式で発表するようで今からとても楽しみです。

期待が高まる2021SSファッションウィーク。発表されたパリの公式スケジュールに目を通すと、一つ楽しみなブランドの名前が見つかりました。セシリー・バンセン(Cecilie Bahnsen)です。

少女の瑞々しい感性が具現化した服

デザイナーはブランド名と同じセシリー・バンセン。彼女はデンマークのコペンハーゲンを拠点に活動しています。2007年にデンマーク王立芸術アカデミーを卒業、その後はロンドンの名門ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに進学し、2011年に卒業しています。卒業後、ロンドンでキャリアを積んだバンセンは2015年にデンマークに帰国、自身の名を冠したシグネチャーブランドを創立します。2017年には現在世界で最も注目度が高いファッションコンぺ「LMMH PRIZE」でファイナリストにも選出され、自身のブランドを堅実にステップさせています。

バンセンのデザインは一目見るなり、その特徴がわかるでしょう。色は白を全面に押し出し、フェミニンなシルエットのドレスを多数展開した、ピュアで可憐なコレクション。幼い少女が抱いていた感性を、瑞々しさと儚さを失わないまま大人に成長した女性のためにデザインされた服。バンセンのデザインはそう表現することが僕にはふさわしいように思えます。

ピュアな服の中に潜む辛さ

バンセンのような白を多用した、フェミンなシルエットを打ち出すしたタイプのデザインは「かわいさ」が強く出て、「ガーリー」「メルヘン」といった形容がされがちです。しかし、バンセンは違います。ガーリーやメルヘンといったイメージは確かにあるのですが、同時に静謐な抑制されたエレガンスともいうべき気品さが感じられてきます。

ガーリーやメルヘンといった感性は、幼い少女たちだけのものではない。成長した大人の女性にだって似合うガーリーやメルヘンがある。バンセンの白いドレスには、そう訴えかけられているような強さが感じられてきます。

ただ「かわいい」だけに終わらない辛さ。バンセンはガーリーやメルヘンの領域を拡張させる挑戦を続けています。

儚い美しさが迫るビジュアル

バンセンのコレクションを一層魅力的に見せているのがビジュアルです。写真の色調に儚さが感じられ、透明感が立ち上がっています。パリオートクチュール で見られる豪華絢爛なエレガンスとは違う、儚く美しいエレガンスです。

バンセンが発表するビジュアルで、女性モデルたちが笑顔を見せている瞬間は稀です。彼女たちは影のある表情を見せ、白いドレスを着用し佇む姿には「暗い明るさ」という矛盾のフレーズが浮かんできてしまいます。

先ほどから何度も述べているガーリーとメルヘン。その二つの形容に限らず、ファッションを形容する言葉には年齢を限定するように感じさせる常識があります。しかし、その常識は本当に正しいのでしょうか。ファッションは既存の概念に疑いをかけ、新しい感性を人々に提示します。セシリー・バンセンはまさにその実践者と言えるでしょう。

2021SSコレクションでバンセンがファッションショーを行うのか、それともビジュアルの発表、あるいは映像の発表を行うのか、発表形式はわかりません。しかし、彼女の創造性がパリの公式スケジュールに乗って発表されることは、バンセンが王道のレールに乗ったことを意味し、彼女のデザインがどう評価されるのか、さらに厳しい場へ立たされることを意味します。

しかし、評価の厳しさが問われる場にいてこそファッションデザイナーは成長します。セシリー・バンセンが今後どのような道を辿っていくのか。成功への道をたどるのか。それとも逆の道を辿るのか。僕は今後もセシリー・バンセンを見続けていきたいと思います。

それではまた来月。

〈了〉

 

*次回2020年10月21日(水)10:00 公開

note:AFFECTUS
Twitter:@mistertailer
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新井茂晃
About 新井茂晃 12 Articles
1978 年神奈川県生まれ。 2016 年「ファッションを読む」をコンセプ トにファッションデザインの言語化を試みるプロジェクト「AFFECTUS(アフェクトゥス)」をスタート。 Instagramとnoteで発表しているテキストを一冊にしたAFFECTUS BOOKは、AFFECTUS ONLINE SHOP・代官山蔦屋書店・下北沢本屋B&B・鹿児島OWLで販売中。2019年からはカルチャーマガジン『STUDIO VOICE』、ニュースサイト『文春オンライン』への寄稿、代官山蔦屋書店でのトークイベント『AFFECTUS TALK』を開催するなど新しい活動をスタートさせている。ファッション批評誌『vanitas(ヴァニタス)』No.006にロングインタビュー掲載

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