こんにちは、タニグチレイです。
革製品を選ぶ上で見た目の表情を気にされる方は多いですね。
扱いやすいのかどうかが結構大きなポイントです。
使用する上でキズが目立つのかどうか?
馴染んでいきながら経年変化として味が出てくるのが革の良さと捉える方は、例えばタンニンで鞣されたスムース革を好まれる。
革が欲しいが細かい擦り傷が気になりにくく手入れをあまりしたくない方は、例えばクロム鞣剤で鞣された型押し革を好まれる。
もちろん革質や加工によって一概には言えませんし、メリットやデメリットもあります。
以前に仕上げ加工の記事でシュリンク、揉み、型押しについて書きました。
改めて今回は表情を比較しながらそれぞれの特徴を見ていきましょう。
スムースは革本来の風合いが失われず天然素材良さが生きる
染料で仕上げたカウレザー。
シワなども良くわかり天然素材であることが一番わかりやすいものです。
場所や個体によっては、血筋やバラ傷などが目立つものもあります。
製品にする上ではできるだけ目立ちにくい部分を使用していることが多いですが、面積が広くなる大きめのカバンなどはどうしてもどこかに何かはあるものです。
自然な風合いをそのまま素材として使用するめ、全く同じものはひとつとしてないことも特徴です。
線維が均質ではないため、染料の浸透具合によっては色ムラが生じることもあります。
なお、表情の良いものを選別すればするほど割高にはなるので、コストが上がることになります。
メリット
・革本来の風合いが強い
・天然素材の良さがあり、一枚一枚個性がある
・使用するほどに味わいが深まり経年変化を感じやすいデメリット
・血筋が目立ったり色ムラが起こりやすい
・使用による細かい擦り傷などが目立ちやすい
シュリンク革はシボが強く刻まれ凹凸がはっきりした表情
顔料、シュリンク仕上げをしたカウレザー。
銀面を収縮させることでシボがはっきりとした模様になります。
線維の密度や方向によってシボの出方が異なるので、仕上がりに個性が出る。
弾力感があり扱いやすく、血筋やバラ傷などは目立たなくなります。
使用による細い擦り傷なども気になりくいため、扱いやすくなります。
顔料であれば発色が安定して均等に仕上がり、色落ちや色移りは起こりにくいです。
ただ、革本来の風合いは感じにくく、自然な表情は隠れます。
メリット
・線維によってシボの出方に個性が出る
・血筋やバラ傷は目立たなくなる
・擦り傷が目立ちにくく扱いやすいデメリット
・革本来の風合いが感じにくい
・経年変化は特になし
揉み革はシュリンクと型押しの中間のような表情
染料、四方揉みで仕上げたカウレザー。
見た目のシボ感はシュリンク革ほど強くなく控えめで味のある表情です。
線維への負荷が少なく、弾力やコシが残るので革本来の強さもあります。
押しや曲げにも強く跡が残りにくいので、柔軟に使用しやすいことも特徴です。
仕上がりに個体差が出るものの自然で上質な表情は他にはない良さですね。
揉みの種類はいくつかあり、一方向に付けるものや垂直方向につけるものもあります。
この四方揉みはその二方向を合わせたもので独特なしわ模様が品の良い仕上がりになっています。
もともとは手揉みで行われていたが、今は機械化されています。
この四方揉みはコルク製のローラーを使用して行っていますが、その機械は国内にあまり無く仕上げができるとこも限られているようです。
伝統技術ではありますがなかなか目にすることが減っていってしまうかもしれませんね。
メリット
・シボ感が控えめで表情に味がある
・弾力やコシが残り、押しや曲げに強い
・仕上がりに個体差が出るデメリット
・使用による擦り傷は多少目立つ
・仕上げができる機会や技術が減っている
型押し革は均一な模様で自由に表現
顔料、型押し仕上げをしたカウレザー。
型押しは凹凸が刻印された金属板を革に押し当て、熱と圧力によって模様を形成するものです。
文字や幾何学模様など様々なものが可能であり、自由度が高い仕上げです。
血筋やバラ傷も目立たないので、比較的革質の如何を問わず使用することができます。
また使用する上でも細かい擦り傷なども気になりにくく、扱いやすいのも特徴です。
ただ、熱を加えて加工するため染色後の色合いに変化が出て濃くなります。
例えば、同じ染色後の革を型押し無しと有りで比較するとその違いがわかりやすいですね。
あと表情の個体差は基本的になく、製品化する上でどの部位を使用しているかの違いになります。
硬く仕上げたものは変形に弱く、柔らかいと頼りないこともあります。
メリット
・自由に模様を刻印できる
・血筋やバラ傷は目立たなくなる
・擦り傷が気になりくいため扱いやすいデメリット
・革本来の風合いは感じにくい
・堅いものは変形に弱く戻りにくい
それぞれに特徴はありますので自分の好みと使い方に合った仕上げ革を選んでみると良いですね。
それでは、また来月。