
ご来店されたお客様が、その場で買ってくださるのはもちろんですが、次にまた来ていただけることは、販売員にとって大変うれしいことです。
しかもその際に、前回接客した自分のことを覚えていてくださって「このまえは、どうもー」なんて言われたら、やっててよかった販売員!!と、感激しちゃいますよね。
そうやってまた来てもらえるかどうかは、運ですか?相性ですか?
いいえ、仕掛けです。
ふとした瞬間にあなたを思い出す場面を設定する
販売員は、接客中に色々なことを話しています。
ブランドのこと、商品のこと、お客様のニーズに対する提案等々、お客様の興味が冷めないうちにできるだけ伝えなくちゃと頑張っていると思います。
アプローチから商品説明、セールストークの間は、販売員を通じていかに商品を気に入ってもらえるかが勝負どころです。
では、クロージングから決定の間はどうでしょう。
クロージングとは、それを買うのか買わないのか、買うならどれにするのか?の段階を指し、どれが好きか?の話から、ひとつコマを進めて購入に近づいている部分です。
この段階にくると、多かれ少なかれ対価を支払う張本人のお客様は、ほとんどがかなりシビアで現実的になります。
さっきまで、「このデザインすごく好きー♡完璧!」と言っていたのに
「かわいいけど、ちょっとトイレ大変そうかな…」などと言い出します。
そんなとき、どう返していますか?「えー、そんなことないですよー」は、何も解決してないので0点です。
トイレって絶対行くじゃないですか。
そこで思い出してもらえるように印象付ける、絶好のチャンスなんです。
私ならこう言います。
「そうですね、この服を着た時は、大丈夫かなと思っても一応前もってお手洗いに行ってしまった方がいいですね(笑)。ちなみにこの付近で一番広くてきれいなお手洗いは○○の△階ですよ」
ピンポイント過ぎるほどの瞬間こそ、独壇場
きれいなお手洗いの場所情報を伝えたところで買ってもらえるかどうかは分かりませんが、「そんなことないですよー」と解決策を言わずにごまかしているよりは、方法を提案しているので得点はあるはずです。
しかもこの話をしたあと買ってくださったお客様のうち、何人かはこの話を覚えていて、その服を選んだ朝に「先にトイレ行っておこう」と思い出してくれます。そしてさらに、あまりきれいじゃない狭いトイレで困るようなことが発生しなければ、「あの人に聞いておいてよかった!」と思ってもらえるわけです。世の中にいるたくさんの販売員のなかで、トイレのたびに思い出してもらえる販売員に昇格です。すごい。
いきなり例えがトイレの話で面くらった方もいるかもしれませんので、他の例を挙げてみます。
①気に入ったスカートのウエストがちょっとゆるい、けど下のサイズだとややきついとき
販売員「もしかしたら、歩いているうちにスカートが回りやすいかもしれません。横断歩道で立ち止まったときや、ホームで電車を待っているときに、ちょっと気にしてみてください。ココをつまんで、この位置にくれば中心が合っています」
これで、回ったスカートを直す度に思い出してもらえる仕掛けができました。
②大きめのキャンバス地のバッグが気に入ったけど、梅雨だし濡れると面倒だな…というとき
販売員「防水スプレーはお持ちですか?いろいろな素材に使える撥水スプレーも1,500円くらいで売られています。もしご用意されたら、玄関先に置いてください。お部屋にしまってあると、出かけるときに気づいても取りに行くのが面倒になりますから。玄関にあれば、ちょっと今日は雲行きが怪しいなぁなんていうときにパッと取り出してシューッとできます」
これで、くもりや雨の日には思い出してもらえる仕込みができました。
いかがですか?このように、生活に密着したシーンでお客様が知っていると助かる情報を具体的にお伝えしておくと、必ず起こるその場面で思い出してもらえるのです。思い出すということは、覚えてもらえるのです。そうするとまた、頼りにして来てくれたり、お店に親近感を持ってもらうことができます。
お客様の再来店は、偶然ではありません。
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