7月の末から前回にかけて全7回にわたって「EC担当者が求められる「売るために」やるべき100のコト」と題して、ささげ(撮影・採寸・原稿)やカスタマー対応、バナーサムネイル作成といったクリエイティブ関連に関して連載してきました。(ECの業務に全般に関してはこちらの記事がオススメ)

実務的な内容から意識すべきポイントまでを55コの項目で解説してきました。

・お客さんが欲しい情報は何か考える
これはとても当たり前ですが、常に頭に入れておかなければならないこと。
必要なのは「分からない状態では買うことを躊躇してしまう」情報。
実際に手に取って着てみることが出来ないECサイトだからこそです。
着心地や風合いなどの物理的な情報や着こなし方法などの使い方の情報があたります。

「売上に直結する業務=撮影」ですが、上達するコツは理解と実践の2つを繰り返すしかありません。知識だけを詰め込んでも、逆に闇雲に撮り続けても上達はしません。正しく知識をつけて「撮影」を理解し、それをもとに実践していくことが必要です。

こちらはほんの一部を抜粋したものですが、内容としてはベテランだろうが新人だろうがおろそかにしてはいけないことですよね。

今回はこれまでの55コの項目の手前にある、大前提としての「EC担当者にとって必要な働き方のルールや基本的な行動原理」について解説していきます。

気をつけて、ECは急に止まれない!

元ネタはご存知の通り「車は急に止まれない。」という交通安全標語なんですが、文字通り車同様ECサイトも急には止まれません。

進んでいる方向(戦略)の急な停止や方向転換は非常に不得意です。
商品展開や価格、販促の変更や差し込みなど、アパレルあるあるの内容ですが対応可能なのはギリギリ店頭まで。

「事前の戦略ではこうだったけど、状況が変わってきたから申し訳ないけどクイックに対応して!」
店頭でもECでも現場でよく聞かれるフレーズだと思います。

もちろん店頭での急な対応も非常に大変です。
自分もアルバイトではありますが、2年間店頭を経験しているので朝の大規模レイアウト変更や価格変更の大変さは身に染みています。
とは言え、店頭はマンパワーを使えばなんとかなってしまいます。
商品さえ届いていれば、什器の組み換えや商品展開位置の変更は物理的にできます。
シールがあれば価格の張替えはできます。(それが良くないのですが…)

しかしながらECサイトというのは「マンパワーを使ってもどうにもならない」という仕組みを抱えています。
それが「サイト反映のタイムラグ」です。

ECサイトとは事前準備の賜物

先ほど例にあげた商品展開の変更や価格の変更というのは、ECでいうところの「商品情報データや価格情報データのアップロード」になります。

以前の記事から抜粋すると

商品アップロード
・CSVファイルの作成とECサイトへのアップロード
・商品アップロード後のチェック

CSVは、ECサイトに商品をアップロードする際に使われる際のファイル形式です。見た目や必要な技術はエクセルと大差はありません。「商品名」「カテゴリー」「価格」「商品コメント」など、商品登録に必要な項目が用意されており、それに沿って各アイテムの情報を打ち込んでいきます。それらが全て入力出来ましたら、ECサイトにアップロードする、といった手順になります。

内容としては上記のような感じで、そのデータを作成する作業自体はそこまで難しいものではありません。

しかし、このデータをアップロードしても即サイト反映(お客さんが見れる状態)になるわけではありません。たいていの場合、数時間のタイムラグが生じてしまいます。
例えば、「この商品を1時間後にサイトにアップして」と言われても、商品情報作成に30分かかってデータをアップロードしたところで残りは30分しかないので、1時間後というのは不可能です。

また価格変更に関しても同様です。
さらに、自社ECだけではなく他社のモールに出店している場合はより困難になります。
他社モール場合、変更情報の作成は自分たちで出来ますがサイトへの反映は、そのモール側の作業になります。
多くの取引先を抱えるモール側には当たり前ですが、そもそものスケジュールがあります。
それを差し置いて、1取引先である自分たちの変更を無理やりに差し込むなんてことはできません。
たいていの場合、何か変更がある場合は「前日の〇時まで」「〇営業日前まで」に依頼してくださいというレギュレーションを置いているモールがほとんどです。

このように、そもそもECサイトというのは事前の準備によって成り立つ仕組みになっているのです。

やれないんじゃなくて出来ない

また比較的サイトのシステムや他社に依存しないような、商品画像や販促系に関しても同じようなことが言えます。

例えば、商品画像を変えたいとなった場合まず必要なのが
・商品
・モデル
・カメラマン

商品がないと何も始まらないので「手配」が必要です。
また、ブツ撮り(商品のみの画像、モデルが着用していない画像)であれば必要ありませんが、着用画像の場合は着てもらうモデルが必要なので「手配」しなければなりません。
他者からの場合はもちろん、自社の販売員をモデルにする場合であっても店頭には店頭のシフトがあるので、急な変更はできません。
事前に依頼しシフトの変更が必要になります。

また撮影してくれるカメラマンに関しても他社、自社とわず差し込みは対応できないため、事前にスケジュールのすり合わせが必要になります。

販促に関しても、内容に応じた画像やテキストの情報が必要になります。
例えば画像でいえば、変更前の内容で撮影しているものを使用しても販促の意味がないので、撮影をし直さなくてはなりません。
そのためには上記であげたような、準備からしていかなければなりませんしテキストの情報に関しても各担当部署や場合によっては仕入れ先にも依頼をしなければいけません。

ECサイトはすべての材料がそろって、アップロードしてはじめてお客さんの目に触れることができます。
1つでも欠けていればその準備さえ進みません。
そしてその準備には大勢の人間が関わっています。

クイックに対応できないのは、怠慢でやっていないのではなく不可能というのが実情です。

事前にどれだけ握れるか

ここまででECサイトは準備が全てということを少しでも理解していただけたかと思います。

ではどうすればそういった事態を未然に防げるのか?
単純ですが「事前にどこまでが出来るのか、どのタイミングがデッドラインなのかを共有・確認しておく」しかありません。

クイックな対応を迫られる1番の原因が「できるできない」の線引きが、あいまいなまま運営が進行していることにあります。
たいていの場合、もう断れないという状態になってから急な差し込み案件が降ってきます。
店頭はそれで修正進行してもらっているからECサイトだけできないは無理など。
そもそも店頭とECでデッドラインの位置が異なるという認識が抜けている、基準が店頭優先になっているなど握る前の大前提からズレている可能性もありますが。

今回の内容はEC担当者だけではなく、それ以外の関係者も含めて再度理解を深めていただければ幸いです。
この部分への理解がない、進まないことが生み出す一番の問題は売上が取れないということなのですから。

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