ファッションECモールについて過去、いくつか記事を書いてきた筆者ですが、

ファッションECモール売上比較表

ファッションECモール売上比較表

 

アパレル企業の自社ECモール売上もまとめてみた!

アパレル企業の自社ECモール売上もまとめてみた!

今回はより掘り下げて、「ファッションECモール自体に世界観はあるのか?」についてフォーカスしてみたいと思います。

ECモールがリアル店舗を出店

先日、オンワード樫山が運営する「オンワードクローゼット」がリアル店舗を出店する、といったニュースがありました。

オンワードが「EC連動型ストア」 郊外に数十店舗

アパレル企業が運営するファッションECモールを看板にした実店舗が出店される事例は、マークスタイラーの「ランウェイチャンネル」、マッシュスタイルラボの「USAGI ONLINE」以来でしょうか。オンワードは郊外に数十店舗の出店を予定しており、ECで獲得した会員を今度は店舗へ送客。どうやら構想としては「売らない店舗」のようで、実店舗でのファン獲得・試着体験などを目指したものではないかと。しかしこれに少し違和感がありまして…。

それは、

「ファン獲得なら各ブランドの既存店舗へ送客すればいいのでは?」

という事です。わざわざ新規出店して出店とランニングのコストを上げなくても、既存店舗があるならそれを活用してしまう方が効率が良いです。ブランドのショップは内装から什器、販売員さんの服装や接客に至る全ての要素でブランドを具現化しています。EC会員や来店されたお客様にブランドをより深く理解して頂くには、ブランド単体の実店舗が一番効果的でしょう。可能性としては、店舗が無い地域に試着型店舗として出店する予定なのかもしれません。しかし、その場合に求められる事が、

「オンワードクローゼットという屋号にコセンプトはあるのか?」

ではないでしょうか。複数ブランドが混在するショップと言えばセレクトショップが代表的ですが、セレクトは独自の仕入れと編集によって自店の世界観を作り上げています。それも無く、ただただ商品を並べるだけの実店舗が出来てしまった時に、各ブランドの見え方が既存店より劣り、店舗としてのコンテンツ力は大きく下がってしまうのではないか?と危惧します。

ECモールの正しいあり方は?

アパレル企業が運営する自社ECモールは、単に自社ブランドを網羅したものであり、そこに明確なコンセプトはありません。企業側からすると、自社の顧客を一元管理できる上にブランドを横断したお買い物をして頂く事でLTV向上を狙える。また、新規ブランドを開発した際に既存顧客にも購入してもらえる、というように企業・ブランド側の利が強い。顧客側としては、同じ企業の中で買い回りブランドがあると利便性とポイント還元などによるメリットはあるにせよ、それを大多数のユーザーが享受している訳では無いでしょう。

つまり、企業側の利が強い自社ECモールをファン獲得の場に使う事が果たして正しい事なのか?という点が大いに疑問なのです。アパレル業界の過去事例では、サザビーリーグのようにECモールを廃止し、各ブランド単体でのEC運営に切り替える事でブランドの世界観を強固にしようという動きもあるくらいです。

 

何が正解か?は自社が保有するブランドの属性と企業の方針に委ねられる事もあるでしょう。しかし、効率さえ良ければいいと考え、本来ブランドがどのようにファンを獲得してきたかを忘れてしまうような施策は、果たして顧客にとって良い事なのか。むしろ、オンワードには新規ブランドとして#NewansuncraveのようなEC限定ブランドがあるのですから、こちらのブランドの「売らない店舗」を作り、各ブランド単体でファン獲得を強化する方が優先される施策なのではないでしょうか。コロナの影響により急激なECシフトが求められる中ではありますが、今一度何が顧客の為になるのかを再考したいものです。

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