アパレルECに携わる方なら最近よく耳にするであろう「Web接客」なるワード。これが原因なのか、ECにおける販売員活用が俄かに注目されるようになりました。特に「ライブ配信」や「コーディネート提案」が簡単に実現出来るInstagramの個人運用は欠かせない要素になってきましたね。

以前から、大手アパレルを中心に販売員の個人アカウントの運用は進められてきたと思いますが、コロナの影響で店舗集客が滞っている今、頼みの綱はEC売上になります。その集客装置として、販売員の個人アカウントからの流入は無視出来ない存在でしょう。課題は、社内で個人アカウント運用を推奨していく中で、意外と知見が溜まっていない事でしょうか。筆者も仕事柄、EC売上アップの為に販売員の個人アカウント運用を積極的にお勧めしていますが、インフルエンサー販売員がいない企業・ブランドも当然存在します。また、インフルエンサー販売員がソーシャル運用を理論化しているか?と言われると、必ずしもそんな事は無く、言語化し辛いファッションセンス等でフォロワーが増えたケースも多々あり、ブランド全体にノウハウが広がっていかないという事もあるのです。

そんなEC売上アップの1手段として挙げられやすい販売員個人アカウントの運用ですが、先日その課題に対する回答のような本が出版されましたのでご紹介しておきます。

 

会わなくても指名される トップ販売員のInstagram

フォロワーを増やすためにやってる?Instagramは幸せを与えるツールなのかも

以前もInstagram本のご紹介をさせて頂いた艸谷さんの執筆第二弾ですね。前回は広く「Instagramの運用方法」について書かれたものですが、今回は販売員のInstagram運用にフォーカスした内容になっており、業界課題にタイムリーに対応してくれています。しかし、個人的にはこの本、EC担当者でも十二分に活用出来る内容なんではないかと思うのです。その理由についていくつか中身をピックアップしてご説明致します。

 

◯EC売上の貢献度が高い店舗の中身がわかる

店頭でInstagramの運用をスタートしたらすぐにECサイトへの流入が激増…、なんていう甘いお話はありません。やはりそこには当事者の熱量が関係しますし、SVやECディレクターが「店頭でもプッシュしてください」と言ったところで具体的にどう動いたらいいかは中々伝わらないものです。

しかしご安心を。本書では、実際のブランドで勤務されている販売員さんのインタビューが掲載されているのですが、ソーシャルが伸びるお手本のような動きをしています。自店のお客様に向けてどういう発信が良いか?を個人個人が真剣に考え抜いていますし、自分が目立つ事より、チームが伸びる事を優先しています。こういう意識のスタッフがいたらEC売上どころか、店頭売上も伸びやすいでしょう。

また、ブランドには「公式アカウント」と「店舗アカウント」、そして「スタッフ個人アカウント」の三種類がありますが、ここの棲み分けの方法も具体的に記載があり、当事者にとって非常に助かる内容です。意外とこの運用を分けるのは難易度が高いのですが(どうしてもコーディネートに寄りがち)、これなら店舗の価値を訴求しやすく、チームとして売上の貢献度も高くなっていくでしょう。

 

◯ECサイトへ流入を増やす為の導線設計が指南されている

Instagramの運用で、意外と徹底出来ていないのが「ECサイトへの導線設計」なのですが、こちらも細かく言及されています。例えば「ハッシュタグの使い方」一つにしても、ECサイトへの流入を増やす為の方法論が具体的に記載されています。ユーザーが検索しそうなハッシュタグを予測して予め設計しておくのは、自社ECでSEO対策を考えるのと似ています。個人アカウントでは、まとめ機能の活用法や購入後のストーリーズのシェアなど細かい手法が数々記載されていますので、明日から使えるtipsが満載です。

InstagramはCRMツールのように活用する事が可能なんだと、改めて思わされる内容ですね。

 

◯販売員のキラートークはサイトコンテンツの切り口として活用出来る

筆者も常々、EC運用の際には、販売員さんに普段の接客内容をヒアリングするようにと伝える事が多いのですが、本書では売れる販売員のキラートークが数多く記載されており、サイトコンテンツの切り口となるヒントが散りばめられております。

接客の基本から、高価格帯商品の販売・コーディネートの発信方法などなど、普段店頭で活用するスキルだと思いますが、このような内容はお客様の課題を解決するものでもありますから、特集や店頭ブログの内容としてそのまま使えます。

これらを日々考えながら接客している販売員さんは、まさに一人雑誌編集部のようで、それを可視化したInstagramはまさに「自分マガジン」と言える内容ではないでしょうか。

 

◯その他、売れる販売員の接客スキルや店内での動きなども…

先述しましたように、細かな接客スキルまで教えてくれる本書は、Instagramの前に店頭接客でも使える内容でしょう。お客様を観察し、確度の高い提案をする手法などは、筆者の周りのスーパー販売員さんが皆さん共通して口にしていますし、信憑性の高い内容です。EC売上の貢献だけでなく、店頭送客をプッシュする活用法も記載があるので、自店を盛り上げるのに大いに役立てそう。昨今、整備されている店頭予約サービスも、ECサイトから予約を取らずともInstagramがあれば簡単に対応可能なので、積極的に活用したい手法ですね。

 

上記のような内容が網羅されていますので、筆者のようなECのディレクションを手がける人間も是非、予備知識として読んでおいた方が良いでしょう。販売員さん個人におかれましては、細かく写真の撮り方・編集の仕方まで指南してくれていますし、手取り足取り細かい運用方法を教えてくれていますので、これ一冊読んでおけば明日からすぐInstagramの運用始められます。

ブランドによっては、スタッフ個人のコーディネート経由売上が重視されると様々な問題点も出てきています。

・メンズが弱いブランドだからレディースのスタッフばかり評価が上がってしまう

・露出を嫌がるスタッフの貢献度が低い、とカウントされる

・店舗ロケーションによる差(品揃え・撮影場所・業務量)

このような問題点はまだ未解決ではありますが、店舗としての運用が確立されるようになれば、公平な評価にも繋がっていきやすいですし、本書がその一助を担うのではないかと思います。店頭販売員・EC関係者から、評価制度を考える本部の方まで、一読しておくとこれからの店舗・ECを運営する為のヒントになる一冊でした。

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