こんにちは、こんばんはしゅんたろうです。
以前に 欧米のサステイナブルを真似てるけどちょっと違う気がする という記事を書いたのですが、その後Twitterで
アパレルのTAMに関する資料作ってて、国内の衣服の供給量が年間約40億着って資料があったけど、輸出抜きで考えると、日本人全員1年で30着程買わないと消化出来ない数字なんだけど。
単純に考えてサスティナビリティっていう前にまずこの生産過多になんらかの規制しなきゃ絶対ダメな気がするけど….。— しゅんたろう (@shuntaronanoda) December 2, 2019
と呟いたところすごく反響をいただきました。
いろんな企業が、表ではサステイナブルがと言っているものの、生産過多な状況については何も変わっていません。
サステイナブル文化が根付くのには時間がかかるだろうななんて思っている次第です。
ところで、作りすぎて売れない在庫は処分されるって言っても具体的にどういう流れなの?って質問があったりしたので、今日はアパレルブランドでの一般的な商品の流れを書いていきたいと思います。
通常販売での商品消化の流れ
これから発売される春夏の商品で考えると、早い商品では12月末〜1月頭から展開され始めます。
年始に展開する理由は、ファッションビル各社が初売りと冬SALEの時期を分け始めた事で、同じブランドでもあっちの店はSALEだけど、こっちの店はSALEじゃないって事が起きています。
そうすると、SALEを行えないお店では同じブランドでの二重価格が起こってしまう為、SALE商品の展開が行えません。(この辺は結構グレーらしいんですけど、賢いお店はクレームを避ける為に売価は統一します。)
その為、プロパー商品を投入して売り場を埋めるというMDの組み方が増えました。
この価格の話は直営店舗(WEBを含む)の場合の考え方で、セレクトショップに卸していたりするお店では、直営店と価格が違ったりすることはあります。(普通は卸先にもSALEリストを共有するので、そこまで無いですが)
そう言う理由でほとんどの人がSALEを目掛けてやってくる年始にプロパー投入が始まることが多いです。
ブランドにもよりますが、オンシーズンは基本的にSALEを行わないって方針のブランドはたくさんあります。
本当なら消化状況に応じて、SALEした方がいいと思いますが、ここがブランド価値を守る為にってよく言われてる部分です。
そして1月から展開し始めたこのSS商品は6月末から7月にかけて、夏SALEにかけられます。
ここでSALEを行わないブランドもありますが、大体のブランドが期間を絞ってやっています(3日間だけとか、1週間だけみたいな)
このSALEにかかるまでが、一応オンシーズンって感じで、大体65%〜80%ぐらいが一般的な消化率なのかなって僕は思います。
ここで消化率が90%を超えてます!なんてところは、バカ売れしているブランドか、計算の仕方がおかしいんじゃないかって思います。
平行して、早いところでは6月中にプレオータムの商品が入荷し、7月には各社オータムの商品が入荷し始めます。
余った在庫の行方は
さて、SALEが始まった時点で35%〜20%ほどシーズンの在庫が残ってますね。
SALEが始まり売り切れなかった商品達がどう処理されているのかと言うと、
①そのまま店頭でダラダラ売っている。
②自社や外部の催事に展開。
③倉庫で保管しておく(アウトレット店舗へ)
の3パターンかと思います。
①についてはギリギリまで店頭で販売していく方法ですね。
ただビルインや百貨店に店舗を構えている場合、SALE商品の展開期間を決められている場合がほとんどなので、長くても8月いっぱい程度で、②か③の選択に移ると思います。
②については自社で場所を借りて催事を行ったり(ファミリーセールってよく言ってるやつ)、GLADD・GILTのようなフラッシュセールのWEBサイトへ出品、他社で行われている売り尽くしSALE(合同SALEとか、百貨店主催のSALE催事みたいなのとか、DINOSがやってるSALEとか)に参加したりして消化します。
ここで消化しきれなかったものが③に行くって感じですね。
③については売れ残ったものは、とりあえず倉庫で保管しておくってパターンもしくは、アウトレット店舗にて販売ってパターンもあります。
ここから行われるのが焼却(滅却)
先述の①〜③の過程を経ても、残るものは残ってしまいます。
その商品に対して行われるのが、
①焼却(滅却)
②バッタ屋に販売
③評価減して、そのまま倉庫に置いておく
のだいたい3パターンです。
①はニュースでもありましたが、書いてる字の通り、在庫を燃やします。
なんで燃やすかっていうと、いつまでも売れないものを置きっぱなしにしておくのは倉庫の保管料もバカにならないからですね。
②についてはバッタ屋と呼ばれる在庫処理会社に格安で販売してしまいます。
だいたい元上代の3%〜5%が相場って感じかなって思います。
バッタ屋はこうして買い取った商品を、元上代の80〜90%OFFとかで販売します。
③については、帳簿上の資産価値を評価減して、そのまま在庫として持っておくというパターンです。
評価減を行うか、行わないかは会社によって結構色々なのですが、プロパーじゃ売れないので、評価減して置いた方が、帳簿上は綺麗ですし、売れればそれが帳簿上では利益になります。
作らないのが一番サステイナブルだよね
とまぁ、ざっくりとですが、こんな流れでシーズン中の商品っていうのは消化(処理)されていきます。
サステイナブルの考え方が嫌いな訳ではありませんが、猫も杓子もエシカル・サステイナブルと言っている裏ではこういう事が行われている状況に対して矛盾を覚えます。
以前に それでも店舗を増やす日本のアパレル で書いたのですが、減り続ける人口に対して増え続ける店舗、自分たちのビジネス優先となっていることが、消費は減っていても、生産が増え続けている状況の引き金になってしまっています。
生産に関してのサステイナブルが唱えられている今ですが、根本はこういった状況を改善し、まずは必要以上に作らないとすることの方が優先すべき課題なのではないでしょうか