劣化しにくいストレッチ素材とは?

ストレッチ素材が嫌いだという人が一定数存在します。

通常、ストレッチ素材にはポリウレタン(正式にはポリウレタン弾性繊維)が含まれていますが、このポリウレタンがだいたい3年から5年で劣化して断裂するからです。

断裂するとどうなるかというとキックバック性が悪くなり、伸びっぱなしということになります。

そうすると、膝が出っぱなしのズボンになってしまいます。
これを嫌う人は一定数います。

ポリウレタンという素材は絶対に一定期間で劣化します。

例えば、ユニクロのネオレザージャケットですが、あれは基布にポリウレタンを塗布して作られています。
下げ札には「三年くらいで剥離します」と小さく書かれてありますが、だいたい3年から5年くらいで表面がボロボロに剥がれ落ちます。

またスニーカーのソールにも使われている場合がありますが、これも5年くらいで加水分解を起こして剥がれ落ちます。

2種類の生地を貼り合わせたボンディング生地がありますが、これも接着剤としてポリウレタンが使用されている場合があります。
この生地も5年くらいで剥がれます。

このようにポリウレタンは確実に5年前後で劣化し、10年を越えることはありません。

とは言っても、綿100%・ウール100%のスキニーパンツなんて拷問でしかありません。
そんな不快な物なら穿くことを拒否します。

打つ手なしかというとそうでもないのです。

もう12年ほど前から一部商品に使用されていますが、ストレッチポリエステルという素材があります。
代表的なのは東レの「T400」です。

合成繊維の中で最も丈夫で劣化しにくいのがポリエステルです。
ナイロンよりもポリエステルのほうが劣化しません。

このストレッチポリエステルを使用したストレッチ素材は理想的だといえます。

ですから、ポリウレタン使用のストレッチ素材に不安のある人は、ポリエステルを使用したストレッチ素材のパンツを着用してみると良いでしょう。ポリウレタン使用のストレッチ素材よりもはるかに長持ちします。

とはいえ、ぼくは、お構いなしにポリウレタン使いのストレッチパンツを穿きます。
劣化しても構いません。

昔は「ファッションは我慢だ」といわれましたが、そこまで我慢してまでファッショナブルでありたいとは昔から思わなかったですし、50歳手前になった今では、我慢をすることはもっと嫌になっています。
ストレッチ機能も含めて、何らかの機能性がない服はちょっと買う気・着る気が起きません。

個人的にはこのストレッチポリエステルがもっと市場で広まってほしいと強く願っています。

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南 充浩
About 南 充浩 163 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】