データを集計しただけで安心する経営者が多すぎる

大手ブランドでは働いたことがないのでわかりませんが、衣料品販売を行う中小零細企業でも顧客データというものを日々集計しています。

自分の経験を話すと、23年ほど前に新卒で入社した洋服販売店はすでにPOSレジが導入されていました。毎日、レジ閉め後にはデータを抜き出して、それをプリントアウトして本部へファックス送信していました。なにせ、まだインターネットは普及していませんでしたから。

インターネットが普及するのは99年とか2000年ごろまで待たねばなりません。

しかし、この洋服販売店ではそのデータが次シーズンの商品計画や自月度の販売計画に生かされた感触はありませんでした。現場の人間からすると何のために日々データを集計しているのかわからないと感じました。

つい2年ほど前からバッタ屋(在庫処分屋)の販売を手伝うことが時々あります。このバッタ屋もレジ閉め後に、その日の売れた商品を集計します。こちらはPOSが無いので手計算です。

それをメールで本部へ送るのですが、このデータも商品計画や自月度の販売計画に生かされている形跡はありません。POSなら自動で集計してくれますが、手計算なので手間がかかります。従業員に手間をかけさせているのに、それが何の業務にも生かされていないのは、はっきりといえば無駄です。

小規模な洋服メーカーにも勤務したことがありますが、ここも売れたデータを集計はしますが、その後、商品開発に生かされた形跡はありません。ここの商品開発はトップの鶴の一声ですべてが決まります。データなんて必要なく、トップの思い込みとひらめきがすべてでした。

その他、取材で伺ったメーカーや小売店、ブランド、その多くで集計されたデータがまったく生かされていないというケースが多くありました。

洋服関係の会社の多くはこんな感じです。某WEB系の社員から言わせると、「顧客データをまったく利用しようとしない2大業種は洋服と飲食で、他業界に比べて大きく遅れている」とのことで、これはまったくその通りだと思います。

洋服が売れないといわれますが、顧客データを集計するだけで活用しないで商品を作ったり、販売計画を立てたりしているのですから、そりゃ売れなくて当然でしょう。逆にそんな程度のやり方で売れる方が驚きです。バブル経済崩壊くらいまでは、敗戦の痛手で物が不足した時代でした。ですから、物を作って店に並べれば売れたのです。

しかし、バブル崩壊後、最低限度の物は誰しも所有するようになりました。食料品と違って洋服は一度買えば3年くらいは着用できるのです。毎月・毎年買い足さなくてはならない商品ではありません。

こうなると、作って店に並べただけでは売れなくなります。ですから顧客データを採取してそれを分析するという作業が必要になるのです。しかし、ファッション産業の人たちはどちらかというと論理的ではありません。ですからせっかく集計したデータを分析しません。もしかしたら頭の構造が残念過ぎて分析できないのかもしれません。

データを活用しないなら、集計させるのは従業員にとっては負担です。さっさと無駄な作業は廃止すべきでしょう。

データ集計だけしても分析しなくては何の意味もないのです。集計したデータの束は経営者の精神を安定させるためのお守りではありませんよ。

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南 充浩
About 南 充浩 39 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿

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