ブランドビジネスに必要な「見せる商品」と「売る商品」

矛盾したメッセージが行き交う今のファッション業界

デザイナーは、”普通の人”向けにデザインをしなければ服が売れないけれど、消費者はそれを見て、全部同じだという。答えはあるのか??

以前、学生のファッションコンテストの審査員をさせていただいたときのこと。いつも、このコンテストの優勝者の作品はとてもイノベーティブなデザインである傾向がある。つまり、リアルクローズには程遠いのだ。結果発表の後、審査員席に並ぶベテランデザイナー達はひとりずつ意見や応援のコメントや今後のクリエーションへのアドバイスを述べる。だいたい、デザインやテクニックに感心したという内容と、まったく逆の内容と、半々ぐらいになることが多い。”コスチュームっぽすぎる”とか、”コマーシャルなデザインを学べ”とか、”売れる服を作らなければ生き残れない”だとか。

世界で名が売れている日本のブランドはすでに事実に直面しているだろうが、日本で売れるのは”コマーシャルな服”だ。でも海外市場では”イノベーション”が求められる。革新的な何かがないと相手にしてもらえないのだ。成功しているブランドは決まって、両者のバランスをうまくとっている。

ファッッションジャーナリストのミーシャ・ジャネットさんの記事から抜粋。ファッションコンテンストにて審査員が売れる服を作れというお話をされるようで違和感を感じたので今回取り上げました。

 

「見せる」物と「売る」物は分けて考える

ファッションブランドを運営していく上で必ず直面するのは「見せる商品」と「売る商品」の割合。売れる商品なんて、大概はベーシックアイテムだったり、カラーはホワイト、ブラック、グレー、ネイビー、カーキだったりと無難なものばかり。セレクト大手各社でも、買い付け商品の比重なんて知れてます。某セレクトの販売員に聞いた話では、売り上げの80%がオリジナル商品で「見せる商品」である買い付け商品は残りの20%程度。(もちろん1つのケースにしか過ぎませんが)

一方コレクションブランドではどうかと言いますと(前職にてコレクションブランドを担当していた経験上)、店頭で一般のお客さんが見る商品の中にコレクションピースなんてほとんど無いです。コレクションはあくまでシーズンのイメージであってリアルクローズでないものが多いから実売に不向き。卸をしていてもセレクトショップがコレクションピースを買いあさっているのはほとんど見た事がありません。

つまり、コンテストやファッションショーでクリエイションを表現する際に「尖ってなくてどうする?」と感じてしまうのです。言いたくはないですが、売れるものなんて各社そんなに変わらないんです。だからみんなマーケティングした結果、店頭で売ってるものが被り倒しているんです。肝心なのは見せ方。ブランドが発信するイメージを尖った印象で見せる事で、お客が認識しやすくなるんです。これはデザインは元よりコンセプトにも関わる話です。

 

デザイナーもビジネス感覚が必要?

生産量や流通量をコントロールするのはMDの役割なので、デザイナーからこういう言葉が出てきても仕方ないのかもしれません。しかし、デザイナーもビジネス感覚は持つべきですし、最近はそういったデザイナーさんも増えてきている印象です。イノベーティブな物を作りながらも売れる商品も作っていく。これは両立するし、矛盾だとも思いません。だから若い学生さんたちは今後も精一杯イノベーティブな製品を作り続けると共に、ビジネス感覚を養ってほしいと記事を通して思った次第です。

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深地雅也
About 深地雅也 155 Articles
株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。