どーも南です。
少し前に独立系デザイナーと思われる人が「日本は市場規模が小さいから、ぼくらは海外販売を目指さざるを得ない」と書いていて、ちょっと驚きました。
この人は別次元に存在するパラレル日本に住んでいるのかな~?
日本のアパレル小売り市場規模は現在9兆円強です。GDPは世界3位でアパレル小売り市場規模も世界トップクラスです。市場規模が小さいというのは事実誤認です。
事実を誤認したままでいくら対策を立ててみても根本がおかしいのですから、効果が出るわけはありません。こういう自虐視線に基づいた思い込みは何とかならないものでしょうか。
市場規模は小さくありませんが、市場規模は縮小し続けています。その理由は商品の平均価格が下がり続けているからです。20年前のアパレル小売り市場規模は今よりもさらに大きく15兆円前後もありました。20年かけて約4割減になりました。
しかし、それでも世界でトップクラスの市場規模があるということは、世界的に見ても平均価格は下がっていると考えられるのではないでしょうか。洋服の低価格志向日本だけのことではなく、世界共通だと言えます。
一方、洋服の市場流通点数は約39億点です。20年前の市場流通点数は20億点で20年間で倍増しています。これも低価格ブランドによる大量生産・大量販売が原因です。
ですから、日本のアパレル小売り市場規模は世界トップクラスといえども、20年かけて市場規模は4割減となり、流通点数は倍増したということになります。
市場規模は縮んで商品数は倍に増えたということですから、競争は激化したといえます。
先程の独立系デザイナーのブランドが売れない理由は国内市場規模が小さいからではなく、競争が激しさを増しているからであり、その競争に彼のブランドは負けているだけのことなのです。
39億点もの商品の中に埋没してしまっているのです。
この事実を直視しないことには、ブランドはいつまで経っても売れるようにはならないでしょう。海外に進出しても成功するのは難しいのではないかと思います。
ただ、日本のファッション業界人は極めて舶来コンプレックスが強い人が多いので、海外で成果を出せば(たとえ名ばかりでも)、手のひらを返したように我先に持ち上げるようになるので、海外で名を上げるというのも一つの手法ではあります。
しかし、独立系デザイナーでクリエイター志向の強い人は甚だ主観が強く、客観視できない事柄が多いように感じるため、個人的にはあまり応援できないですし、応援しようとは思えないのです。
そんなわけで今日はお終いです。