教科書に書かれたようなプロパー販売なんて存在しない

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アパレル業界のジジババの頭の中は、いまだに「10か月のプロパー販売と夏冬の年2回セール」が理想郷としてあるようです。

しかし、現状はまったく異なっており、そういう状況に回帰することはありえません。
それはインターネット通販もなく、タイムセールもなく、ポイントカードもなく、店内に常にセール品コーナーがあるSPAブランドもなかった時代の話です。
少なく見積もっても、20年前、下手をすると25~30年前の光景です。

業界のジジババは結局その当時の成功体験が忘れられないだけなのです。

その当時の状況に戻るためには

1、割引きクーポン券をばらまくインターネット通販
2、四六時中やってるタイムセールをやっているブランド
3、購入ごとにポイントを貯めて割引できるシステム
4、店内に常に「セール品コーナー」があるSPAブランド

この4つが絶滅する必要があります。
何かの拍子に1つくらいは絶滅するかもしれませんが、4つすべて絶滅することは不可能ですから、20年前の状況に戻ることはあり得ないのです。
あり得ないことを理想として思い描いて現実を理想にアジャストさせようとすることは徒労でしかありません。

計数管理の基本として、定価で販売する「プロパー販売」を習いますが、果たして現状で教科書に書かれたような「プロパー販売」があるのでしょうか?
先ほど挙げた4つが蔓延して消費者に浸透している状況ですので、ないといえます。

4つの中で浸透したのが最も近い時期なのは、インターネット通販ですが、3と4が浸透してから少なくとも20年くらいは経っています。
もう20年前には教科書に出てくるような「プロパー販売」というのは絶滅していたといえます。

特にポイントによる割引というのは、当初は家電量販店で見られた手法でしたが、これが書籍や洋服にも波及しており、今ではポイントで割引購入するのが洋服でも普通になっています。

ある業界の先輩はこの現状を指して「常時低率オフ販売」だと名付けましたが、極めて正しいといえます。

毎日、さまざまなブランドは少なくともポイント販売かタイムセールかで「常時低率オフ販売」を繰り返しているのです。
またある人は、「無理やり定価販売を続けて年に2回だけドカンと値下げする販売方法は却って利益を引き下げる」と指摘します。それよりも「ユニクロやジーユーなどのSPAブランドがやっているように、売れ行き不振のアイテムは随時自動的に少しずつ割引販売する方が消化率も高まるし、利益も確保できる」と言います。

ITだ、人工知能だ、ECだ、インフルエンサーだ、と流行り物に浮かれて、それらを導入することを目的化するのも結構ですが、こういう基本的な部分を見つめなおさないと、単なるから騒ぎで終わってしまいます。
お気を付けください。

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南 充浩
About 南 充浩 110 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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