小学生がファッションを学ぶ「道場やぶり」企画開催 東京ソワールと文化学園が受けて立つ
子ども向け職業体験プログラムの企画および制作などを行っている一般社団法人夢らくざプロジェクトが主催する服作りの体験イベント「道場やぶり おしごとチャレンジ ~ファッション大作戦~」が、東京ソワールと文化学園 文化ファッション大学院大学(BFGU)との共催により、東京・渋谷の文化ファッションインキュベーションで行われた。
服育という言葉があります。その名の通り、衣服に関することを子供に教えるといったもので、上記のような催しを最近よく目にするようになりました。アパレルメーカーは主に残布などを提供し、企業の中の人やファッション教育機関の職員が服作りについて教えてくれるようです。幼少期から衣服に興味関心を持つきっかけになる催しが実施されるというのは、業界の中にいる人間からすると非常に喜ばしいものではあるのですが、この服育が何のために存在しているのかふと気になりました。
服育の目的は?
https://www.fukuiku.net/fukuiku.html
服育とは、繊維商社である株式会社チクマが始めた活動であり、それが教育関係者から広まった活動のようです。衣服を通して子供の生きる力を育てるというのですが、これってもっと違う効果があると思うのです。
以前、僕が勤務するファッション専門学校に、入学希望の若者が来校しました。一通り学校の説明を話した後に彼は、
「どうしたらファッションの消費ってもっと盛り上がると思いますか?」
と聞いてきました。少し考えた後に僕は、
「個人のファッションに関するインプット量を増やすこと」
と回答しました。
インプット量が消費を促進する?
過去、自分がどういう経緯を経て衣料品の支出が増えていったかを思い出していたのですが、単純にファッションに詳しくなればなるほど、お金を使うようになっていました。ブランドの知識やバックグラウンド、素材の知識、商品のうんちくなどなど。インプットが増えれば増えるほど、対峙する物の付加価値が上がる、そんな印象でしょうか。これはどんな業界でも当てはまると思いますが、インプット量がこだわりを生み、消費を活発にしているのです。
一番ファッション消費が活発なのは業界人?
ファッション業界人って、とにかく衣料品の消費が激しい人が多いですが、これも上記の理論で言うと当然の結果でしょう。何せ毎日のように服に囲まれた生活をしているのですから、消費が増えても仕方ありません。「服を買う事も勉強」という免罪符も相まって、更に消費が進みます。つまり、ファッション業界を活性化させたいなら、衣料品の消費を活発にする。衣料品の消費を活発にするなら、ファッションに対するインプット量を個人レベルで増やしてもらえばいいのです。
さらっと簡単に言いましたが、現時点でファッションに興味が無い人間にいきなりインプットを増やしてもらうのは難しいでしょう。だからこそ「服育」が必要なのです。服育という活動が一般的になれば、アパレル企業は小学生から顧客教育ができてしまいます。企業名・ブランド名を引っさげ、子供のファッションに対するインプット量を増やす手助けが可能です。服育対象者は、これからのファッション消費者予備軍な訳です。
ちょっと極端な話をしましたが、そういう狙いがあってもいいのではないかと。高い服を買う人間が増える事が業界にとって必ずしも最良であるとは思いませんが、多くの人がファッションに触れる時間が増え、ファッションで高揚感を感じるきっかけが出来ればそれはとても素晴らしい事だと思うのです。子供の生きる力を養う事や環境保護はもちろん素晴らしい事ですが、純粋なファッションの楽しさを知ってもらい、それで消費が促進され、業界が活性化してくれれば幸いですね。