日本でも大手アパレルがブランド廃止から大規模な閉店を行っています。
ワールドやオンワード樫山、TSIホールディングス、イトキンなどが閉鎖した店舗を合計すると1600店くらいになるといわれています。
しかし、アパレル不振は日本だけではありません。
アメリカも深刻なアパレル不振です。
メイシーズ、アンソロポロジーの大量閉店、Jクルーの巨額赤字、アメリカンアパレルの経営破綻など枚挙にいとまがありません。
不振の規模は日本よりも大きいといえます。
アメリカのアパレル大量閉店の理由の一つにはウェブ通販の拡大が挙げられています。
ウェブ通販比率が高まったため、逆に実店舗で買う人が減り、それが大量閉店につながっているとされています。
日本では、アパレル実店舗の不振とウェブ通販市場の成長の二つの理由から「ウェブ通販の強化」が経営トレンドになりました。
余談ですが、アパレル経営者はあまり物事を深く考えない人が多く、目先の利益と見せかけのトレンドにすぐに飛びついてしまいます。今年の初めごろまで経営者はこぞって「ウェブ通販強化」「ウェブ販売比率の向上」を目標に掲げました。
無責任なコンサルタントが煽ったこともあるかもしれません。
しかし、日本でもウェブ通販強化・ウェブ通販伸長が実店舗にとっては逆効果になることがわかりつつあります。
例えばこの事例です。
ユナイテッドアローズの5月度売り上げ速報では、ウェブ通販が対前期比32%増と激増したにもかかわらず、会社全体の売上高は対前期比4%減に終わってしまいました。
ウェブ通販が大きく伸びましたが、実店舗の落ち込みはそれ以上に激しかったということです。
ユナイテッドアローズは4月度も同様の傾向です。
これまで日本では、ウェブ通販が激増することで、会社全体の売上高は現状維持ないしは微増になると考えられてきた気配があります。だからこそ、猫も杓子もなんとかの一つ覚えのように「ウェブ通販強化」を掲げていたのです。
しかし、今後はウェブ通販が伸びれば伸びるほど、実店舗の売上高は減り、アメリカのような大規模閉店が相次ぐのではないでしょうか。
なぜなら、収入が増えない限りは買い物の金額自体が増えることはありえないからです。
例えば毎月5000円分服を買っている人がいるとします。今までは5000円全額を実店舗で購入していましたが、3000円をウェブ通販で使ってしまえば、実店舗で使うお金は2000円になるでしょう。
収入が増えれば話は別ですが、収入が変わらないとするとほとんどの人はそういう消費行動になるはずです。
良い悪いは別として今の日本では、なかなか大幅に収入が増えることはありません。そうなると、ウェブ通販での買い物が増えれば増えるほど実店舗での買い物が減ると考えられます。食料品はその限りではないでしょうが、嗜好性の強い衣料品はそうなってしまいます。
ユナイテッドアローズの5月度商況のようにウェブ通販が伸びても会社としての売上高が下がってしまう危険性もあります。
実店舗が厳しい分をウェブで補完するという姿勢なら大いにやるべきだと思いますが、ウェブ通販を表層的に捉えて過剰に期待をかけているのはかなり危険だといえます。
それを踏まえたうえでウェブ通販に取り組まないと、最悪は会社をつぶしてしまうことになるかもしれませんよ。
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