タイトルが某漫画のパクリですみません。
先日、ファッション専門学校の学生の相談に乗っていたのですが、その中で出てきたのは「服の話が出来る人間がクラスにいない」との事でした。その学生は年齢の割りに服に費やすお金の額が半端なく、もっと服の話が出来る友達が欲しいと。具体的にどんな話をしたいの?と聞いているうちに、その学生がブランドの知識のみならず、商品の素材やディティールにも非常に詳しい事に気付きました。また、シルエットへのこだわりも強く、安価なブランドとのシルエット差はすぐ気づくとも。
そういえば自分も若い頃は服を買って「失敗した」という感想を持つ事もよくあり、何がダメだったのかを考えて次のお買い物に活かしたりしていたなぁとふと思い出しました。これって自然にトライ&エラーを繰り返していて、それによって服に対する解像度が上がっていると言えます。この学生も今まで服にたくさんお金をつぎ込んできたからこそ、高い解像度を持ってしまい、それが原因で友人と服の話ができなくなってきたんではないかと思うのです。
○服を買う事が教育につながる?
もちろん服をたくさん買う人が全員、素材やディティール、シルエットに対して詳しいのかと言うとそれは違います。ただただデザインが好きなだけで素材に興味を持たない人もいるでしょうし、洗濯は親がするから気にしないという人もいるでしょう。しかし、こちらから気付きを与えてあげて自分の今着ている服が教材になり、その数が増えれば増えるほど新しい知見を増やす事は可能になります。とっても当たり前の事なんですが、全ての人が既に教材を持っているのです。そして、買えば買うほどトライ&エラーを繰り返すことができます。
僕もよく、市場調査という名目でお買い物に行っていますが、商品を購入する過程で気づける事はたくさんあります。それはショップが提案するトレンドアイテムや消費者の動向かもしれませんし、販売員さんの接客レベル、購入したブランドの品質や機能かもしれない。結局、良質なインプットはリアルな場にしか無く、二次情報ばかりを収集していると頭でっかちになりがちです。だからこそ、若者がファッションを勉強したいなら「服を買う」という行為は非常に効率的な学習と言えるのではないでしょうか。
僕が学生時代の頃と比較すると、学生が服にお金を費やす金額は減ったように思います。安価な服が市場に増えた事も原因の一つでしょうし、可処分所得も減っています。しかし、これから業界に入ろうとする人たちには是非ともたくさん服を購入して欲しい。それこそが教育的にも、消費としても業界を活性化させる事に繋がっていく。そんな当然の事を改めて学生から教わった次第です。