ファッション業界は、商品のイメージを一新するためにときどき商品名そのものを変えることがあります。
最近の例だと、「ジレ」でしょうか。フランス語でチョッキという意味です。英語ではベストです。
ちょっとアホな販売員や企画担当者は勘違いしていますが、英語でいうところの「ベスト」はすべてフランス語で「ジレ」なのです。
ちょっとアホな販売員、アホな企画担当者は「前がボタンで開閉できるものがジレ」「頭被り(プルオーバー)がベスト」と理解しているようですが、間違いです。
どちらも「ジレ」であり「ベスト」でありもう一ついうと「チョッキ」です。
ほかにも「オーバーオール」と「サロペット」とか「コール天」と「コーデュロイ」とか様々あります。
多くの場合は単に言い換えただけなのですが、稀に、もともと使っていたのが間違った用法であり、後ほど正しい用法に改められたというものがあります。
その代表例は「スパッツ」と「レギンス」です。
80年代、90年代に流行したのが「スパッツ」で、2000年以降はそれを「レギンス」と業界では呼んでいます。
多くの人は「スパッツ」をオシャレに呼んだのが「レギンス」だと思っているようですが、これは誤りです。
正解は、「スパッツ」が間違っていたから、正しく「レギンス」と呼び直したのです。
では「スパッツ」の本来の意味は何だったのでしょうか?
それは、泥や汚れをよけるために靴の上に装着する「脚絆(きゃはん)」で、明治から終戦直後までは我が国では「ゲートル」と呼ばれていた物です。スパッツとはこれを指す言葉です。
足首からひざ下くらいまでの物が本来のスパッツなのです。
ピタっとしたズボン上の物は、英語圏での正しい呼び名はレギンスなのです。ですから現在の「レギンス」というのは英語圏との共通語でまったく正しい呼び名であり、スパッツの方が間違って呼んでいたのです。
ちなみにレギンスはフランス語では「カルソン」と呼びます。
たまにメーカーによっては商品名に気取って「〇〇カルソン」なんて呼び名を付けている場合がありますが、本来であれば、カルソン=レギンスなのです。レギンスからかけ離れた見た目をしている物はカルソンではないのです。
wikiによると、レギンスの和訳はどうなるかというと「股引(ももひき)」だということです。関西弁でいうと「パッチ」です。昔のおじさんが冬にズボンの下に穿いていた「ももひき」「パッチ」は英語でいうとレギンスということになります。
そんなわけで今週はここまでです。
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