EC売上のうち「ZOZO比率」を下げていかに自社を伸ばしていくかは多くのアパレルの課題。売上が伸びても、顧客リストも取れずクーポンで売上・利益を削り続けて疲弊してたら意味がない。昔の楽天と全く同じ現象が起きてるな…。
— 深地雅也 (@fukaji38) April 29, 2018
上記のつぶやきに結構な反響があったのでピックアップ。そもそもはパルグループのEC売上の記事を見た際に、
“販売チャネル別の売上高は「ZOZOTOWN」が同76.9%増の71億8300万円、自社ECサイト「PAL CLOSET(パルクローゼット)」は同48%増の19億8700万円、その他は同1.2%減の18億5100万円。” https://t.co/JbNjPhwRNH
— 深地雅也 (@fukaji38) April 29, 2018
全体の70%がZOZOTOWNでの売上という報道を見て思った事です。ファッションEC界隈では以前からも危惧されている事ではありますが、同様の認識の方々が多かったのではないかと推測しています。ZOZOTOWNに限らず他のECモールに出店しているショップは同様の課題を抱えている事でしょう。という訳でこの件についておさらいしておきます。
顧客リストを獲得できない件
数年前は楽天でこの問題をよく耳にしました。ECモールからしたら自社の顧客リストをブランド側に渡すメリットがありませんから普通と言えば普通の事です。ブランド側は自前で顧客を1から作らなくてもこういったプラットフォームに出店したらすぐ集客できるから初期は恩恵があります。しかし、リストが取れないという事はブランド認知やロイヤリティを向上させる事が難しく、ブランド価値が上がっていきにくい。これはリアルの商業施設でも同じ事が言えますが、お客さんが回遊していてふらっとお店に立ち寄ったからと言ってそのお客さんがブランドを認知しているかと言うとそれはわからない。「たまたまその商品が目について立ち寄った。」というケースだって大いにありえます。売上の最大化には必要不可欠な要素ではありますが、依存しすぎるとダメなのは皆様おわかりの通り。
クーポンまきすぎ・セールやりすぎな件
最近特に問題になっているのがこれ。以前も少し触れている件ですが、
ECモールも出店ブランドが増えすぎると当然埋もれる訳です。そこでお客さんに見てもらおうと思うとクーポンをまいたり、セール開催を頻繁にやったり、サイト内での広告を出稿したり…。いずれにせよブランド側はコストがかかる事なので利益を圧迫します。売れ残りをセールにかけるならいいんですが、プロパーど真ん中の時期にやったりしますからタチが悪い。昨対を割らないようにする為に割引してでも売上を取りたいのはわかりますが、割引しすぎて売上伸ばす事すら難しい状況でしょう。最近のECモールの訴求の仕方がこれ一辺倒になっているので、自社で集客しブランディングもコントロールできる自社ECの重要性が問われるのがよくわかります。
マルチブランド戦略を取ってるアパレル企業が、自社ECをモール化してブランド横断で顧客に訴求しているのは既に獲得している顧客リストを活用できるからでしょう。新規ブランドを始めても顧客リストが無ければ売上など見込めません。顧客の囲い込みはこんなところでも活きてくるのです。ECの売上の中で、自社EC比率をどこまで高めれるか?はアパレルの今後の重要なKPIになるのではないでしょうか。