物事はファクトベースで正しくとらえる必要があります。
ちょっと業界ネタから離れますが、最近、日本では少子化による人口減少が声高に叫ばれています。
これは事実なのですが、では日本だけが突出して少子化なのかというとそうではありません。
一部の国を除いては先進国・中進国は基本的に少子化になるのです。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/sekai-shusshou.html
ここに我が国内閣府が公開している2015年の各国の出生率統計があります。
我が国ではほとんど話題に上りませんが、ドイツとイタリアの特殊合計出生率は低く、ドイツが我が国と同じくらいで、イタリアは我が国より低いのです。
ドイツ1・50
イタリア1・37
です。
2015年の我が国は1・45ですからドイツは微妙に高い程度です。
これが2016、2017年になるとドイツは1・50を下回って1・4台に低下して我が国と差がなくなります。
イタリアは低いままです。
個人的にはドイツの方が深刻だと見ています。
なぜなら、ドイツは大量の移民を含んでいてこの出生率の低さなのです。
移民を受け入れれば少子化は解消されるという説は嘘だということがわかります。
また、少子化対策で成功したといわれることの多いフランスですが、再び2・0を切って、1・9台に低下しています。
2017年ではたしか5年連続の微減になっているはずです。
移民受け入れ、婚外子の承認などが成功したといわれますが、これも効果が長続きしないと言わざるを得ません。
さらに深刻なのは東南アジア・東アジア諸国です。
2015年度で軒並み1・5を下回っています。
これらの国々は我が国を上回る速度で少子高齢化と人口減少が始まっています。
タイのみが2013年実績ですが。
タイ1・4(2013年)
シンガポール1・24
韓国1・24
香港1・20
台湾1・18
となっています。
ちなみに2017年はこれよりもさらに低下が進んでいて、韓国は1・05で史上最低水準にまで落ち込んでいます。
中国も1・4前後しかありません。
ベトナムもすでに1・8を下回っています。
東南アジア・東アジアは早晩大幅な人口減少が起きます。
もちろん我が国がアジアの中では最初に人口減少が始まっているのですが、他国もあと5~15年くらいで目に見えて人口減少が始まるのです。
我が国の社会制度が完璧とは思いませんが、ドイツ・イタリアも含めて日本のメディアが報じるほど理想的な社会制度を実現した国はないということです。実現できているなら各国とも出生率は上昇していますからね。
経済成長し娯楽が多様化し、女性の高学歴化と社会進出が進めば進むほど、国や民族とは関係なく少子化になるといえます。
それは東南アジア・東アジア各国の出生率の低さを見れば一目瞭然です。
各国の出生率というファクトを把握して議論しないと、それは感情論で終わってしまいます。
何事においても感情論では解決できません。
それは少子化対策も企業活動も同じです。
ですから、ファクトを何よりも重視するという姿勢を持つことが望ましいのです。