先週、ちょっと意味の分からない東京出張をした際、こんな話を某アパレルから伺いました。
オンワード樫山、ミキハウス、4℃などの有力ブランドの離脱を引き起こした問題のサービス「ZOZO ARIGATO」ですが、実はしたたかに上手く活用しているアパレルも現れ始めているとのことです。
それはこのサービスの特性を逆手に取ったやり方で、感心せざるを得ませんでした。
このサービスの注目すべき特性とはどこかというと、会員向けに10%~30%をZOZO側の負担で値引きするというところにあります。
これを逆手に取って、某アパレルは「アウトレットとして活用するにはもってこいだ」と言います。
どういうことかというと、アウトレット処分したい不良在庫品があるとします。これを値引きしてZOZOに出店すると会員向けにZOZOが勝手に自腹で10~30%をさらに値引いてくれます。
そうするとアウトレット品はさらに売れやすく値下げされることになります。しかも相手持ちで。
何なら、相手側の値引き分だけ高めに値段を設定して出店しても良いかもしれません。その分、ブランド側としてはアウトレット品を売った時の利益が10~30%高く取れることになります。
これは他のメディアや識者も指摘していることで、例えば、日経クロステックでは
ARIGATOメンバーになって分かった、ZOZOの見通しの甘さ
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00138/021600236/
という記事が掲載されています。その中で
出店企業もZOZOTOWNでは値引き前提で商売することを考え始め、セール対象や在庫処分品を多く出してくるようになる可能性がある。するとZOZOTOWNの「アウトレットモール化」が進む。
と指摘されています。
また、マサ佐藤氏は自身のブログで、トウキョウベースの決算を分析していますが、そのシリーズの中に
MD目線で決算書を読む方法を教えます?⑥
という回があります。
この回ではトウキョウベースのECについて分析解説していて、トウキョウベースの客単価が店頭とECでは1・6~4倍も違うことについて触れられています。ECの客単価が圧倒的に低いのです。
よく知られているようにトウキョウベースのECはほぼZOZOTOWNに依存しており、その依存比率は86%にも及びます。
そこで、私はトウキョウベースのEC売上の80%以上を占めると言われている、ZOZOTOWNのサイトを見てみました。すると、1月31日現在。ステュディオスのメンズだけで、6,000点以上の商品がヒットしました。よくよく見てみると、1アイテム単位ではなく、カラー単位で商品が記載されていましたので、仮に1アイテム辺り3カラー展開と仮定すると、2,000アイテムを超える商品が展開されていることになります。
そして、順を追って商品を見ていると、Tシャツ等の夏に着られそうな商品もかなりの数。セール価格で掲載されています。ある意味、アウトレット(以下OL)機能も有しているようです。
また、2018年2月期までは、EC専用の安価な商品も販売してようです。(2019年2月期第2Q決算短信に記載)これを見るとST事業のECの客単価の低さも納得がいきます。(このことで、トウキョウベースが何故?ZOZOのARIGATOの施策を支持するコメントを出したのかは理解できる。セールで在庫を消化しようとしている企業にとって、相手負担で買いやすい値段になれば、自損で粗利を犠牲にすることなく、在庫消化が促進されるからだ。)
と結論付けています。
これらの動きは今後、増えることはあっても減ることはないといえ、ZOZOTOWNのアウトレットモール化はさらに早まると考えられます。
それにしてもアパレル側もなかなかしたたかだといえますね。(笑)