腕時計型スマートフォンともいえるスマートウォッチの市場は、2015年のアップルウォッチの登場によって大きく広がった。スタートアップから老舗の時計メーカーまで、多くの企業が参入してきた。 そして今、この市場に狙いを定めているのが、ラグジュアリーブランドである。仏LVMH傘下のルイ・ヴィトンは今年7月、ブランド初のスマートウォッチ「タンブール ホライゾン」を日本で発売した。同社は2002年のタンブールシリーズ発売を皮切りに、時計事業を展開している。
ブランドビジネスに必須の「伝統」と「革新」
ルイヴィトンがスマートウォッチ市場に参入したようで話題になっています。シャネルやルイヴィトンのようなラグジュアリーブランドがブランド価値を高める事に成功している一つの要因として「伝統と革新」というキーワードがあります。過去からある定番品を大切にしながらも、そのシーズンの限定商品を発表したりアーティストや他ブランドのデザイナーとコラボしたりと、上手い具合に顧客を飽きさせない手法をとっています。
その「革新」の中で少し動きが見られたのが今回の「テクノロジー」の部分。シャネルでもコレクションに3Dプリンティングで製作された衣料品が発表されたりと、様々な新しい技術が取り入れられています。今回のルイヴィトンのスマートウォッチ参入も恐らくそういった革新性を取り入れる為の手段なのではないかと推測されます。スマートウォッチ市場では、先にエルメスがApple Watchコラボで参入していますし、同じLVMHグループではウォッチブランドのタグホイヤーなんかも同様にApple Watchで参入していましたので、特に驚くべき事ではありません。今更ルイヴィトンがウォッチ市場でシェアを大幅に獲得していくという事も難しいとは思いますので、ブランディングの一環なのではと思いますが。
あくまで重要なのは「コンセプト・世界観」
ただ一つ注意したいのは、無計画に革新性ばかりを全面に押しすぎると逆効果という事です。ブランドビジネスにおいてあくまで一番全面に押し出すのはコンセプト・世界観です。他の要素ももちろん必要ですが、それらはコンセプトを伝えるべくイメージを増幅するものであったり、付加価値を高める手段に過ぎません。自分たちの顧客がブランドのどこに一番魅かれているのかを見誤るとブランド価値を毀損する事につながってしまいます。近年、ファッション業界でもIoTという言葉がバズワードになっており、とりあえず取り入れとけばいいという製品もちらほら見受けます。他社が参入したものにすぐ乗っかるのはファッション業界の悪い癖なので、今回もそんな製品が市場に溢れないよう気をつけたいものです。
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