高原価率は透明性の高い数字じゃない

寒くてmacbookが点かないという恐ろしい事態に右往左往した深夜0:20。

 

すっかり冷え込んでいますが、風邪などひかれていませんか?

あたたかくして、良い年末をお迎えくださいね。

さて、私は今年からこのTopsellerで記事を書かせていただくようになったのですが、今年は本当に今までやったことのないようなお仕事をたくさんやらせていただきました。

ざっとこんな感じで、いまのところ生きていないのはサボテンを育てるところなので、もし観葉植物の管理に困っているスタートアップがあったら是非宜しくお願いします!!!

さて、様々な職種・ポジション・年齢の方々と関わらせていただいたこの一年、今年特に後半にかけて、どの層からも高原価率っていうワードが頻出してるのが驚き

もちろん、「どうなの?」って声がほとんどだったりもするのですが、これが面白いところで、ファッション業界以外の人間には刺さっていなくもない現実。

ただこのワード、ものは言いよう使いようという感じがしますですね。

 

エバーレーンの透明度と一緒にしてはいけない

 

高原価率が言われ始めたときに、名前が上がるのはエバーレーンなんですが

エバーレーンは高原価率を売りにしているわけじゃないですよね、コンセプトである「徹底した透明性(Radical Transparency)」が超インターネット的であり、今っぽいブランディングということで。

原価率というか、その中身をすべて公開しているというところです。

これは、アパレルで長年言われている発展途上国の低賃金労働問題などがあるがゆえのブランディングなわけですが、国内ブランドの謳う”高原価率”はその本質が置き去りになった印象。

そもそも同じ層を狙っていないとは思いますし、そういう理念を持たずして”高原価率”というプロモーションをしているのだと思うのですが、クリーンな印象をもたらすはずだったワードが、一気に黒よりのグレーになってしまったように思います。

エバーレーンのやっていることはネティズンに響く運営のように感じますが、国内のソレではちょっと難しそう。

うーんじゃあどこに刺さるの?というと

まずは衣類としての服を求めている層。特に日本のOLさんはまだまだロールモデルをこなすように服を選ばなくてはならない層も一定数います。

また、服にある程度こだわりをもっている人間は想像もつかないほど、世の中に一定の「コスパ好き」はいるわけで彼らはモノが好きというよりも、得をしているような感覚が好きという(もしくは両者を併せ持った)消費者なのでそこには刺さるのかもしれないな、という感覚を持ちました。

 

 

洗練されるからこそシェアされる

 

さらにエバーレーンを見てさっすがだなあと思うのは、工場紹介のページも、原価(といっても輸送費・マージンまでしっかり公開しています)表示の図式まで、デザインされている!

そう、そこはかっこよくあるべき。

先日ガイアの夜明けで報道され、ネット市民によって会社名まですっぱ抜かれたブランドもありましたが、ネティズンはそういう人道的ではないことに「知らなかったから加担する」ということにすごく嫌悪します。

だから情報がオープンになっているのであれば、今この状況なら情報を取りに行くでしょう。

しかしそれをよりシェアさせるには、デザイン的な洗練が必要です。

「意義のある取り組み」という情報を、「洗練されたデザイン」によって解説・補足することでFファクター同士のつながりに情報を乗せやすくなる。(Fファクター:ざっくり言うとネティズンにとっては専門家よりも影響があると言われるフォロワー・facebookのつながりなど他人。)

個人的には、その背景がクリーンであることが前提となり、エバーレーンのようなブランドもありながら、原価率ではないファッションの魅力が再確認されていくようにしたい。という気持ちがあります。

が、あまり中身のない言葉でのプロモーションは、流行を取り入れたように見えて、透明性を求める市場の本質とは逆行している気がしないでもない。というお話でした。

 

 

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中溝 雪未
About 中溝 雪未 69 Articles
1990年生まれ。コレクションブランドの企画室でインターンからデザイナーアシスタントとして勤務。その後アパレルブランドで布帛・ニットをはじめとするデザイナーの経験を積み独立。現在フリーランスとして企画・デザイン・パターンを担当。 プロダクトアウトなものづくりからマーケットインまで、偏らないバランス感覚を武器に、コンセプトメイクからお客様に届くまでをディレクションするプランナーとして業界を問わず活動中。