「最近ファッションの熱が再燃してるね」
先日お話した別業界の方々の言葉に少し驚いたと共に、「そういう見方もできるな」と納得感も。その方は僕と同年代であり、20年前の裏原ブームと同様の空気感を今の時代に感じているそうです。(supremeの流行がそれに当たるようです。)僕が講師をしている専門学校はファッション科だけでなく漫画・ゲーム・スポーツ・音楽関連などなど、多種多様な業界の講師がいるのですが、皆が共通して言うのはファッションに対する敷居が下がったという事。その結果、より多くの人間がファッションに対して興味を持ってきていると感じているようです。
若者のファッション離れは嘘?
よく言われる若者のファッション離れですが、普段若者と接している人たちがそれを感じていません。では何故ファッション離れなどと言われているのか?原因としては下記が考えらえるかと。
①人口の減少
ファッション関連の市場規模を見れば、20年前と比較すると相当減少はしています。また、カルト的な人気があったブランドも、そのロイヤリティやファンの母数がやや下がった印象もあります。ただ人口動態を見ていますと現在と20年前では、20代の各年代で40~50万人程度の差があります。若者の人口減少が一つの原因ではないかと。
②商品の低価格化
僕が学生時代だった10数年前ですらファストファッションはまだ拡大していなかったですし、安くていい物は全然なかった。今の時代、GUに行けばちゃんとしたアイテムが超低価格で手に入る時代です。これも統計で出ていますが、商品の点数は増えているのに市場規模が下がっていますから、市場では完全な低価格化が起こっています。
③ファッションの大衆化
上記の低価格化が一つの原因でもありますが、10数年前に比べファッションの大衆化がより進んだ印象があります。ファッションにそこまで興味がなくても低価格でそこそこの物が手に入ります。以前はファッションを気にする事自体にやや敷居の高さがありましたが、今ってもっと気軽にファッションを取り入れれるようになっています。SCも以前より格段に数が増えましたし、ECで自宅でも商品が買えるようになりました。インフラの整備も大衆化に大きく寄与したのではないでしょうか。そして大衆化から興味関心が薄い人が増えた事がファッション離れに見えているのではないかと。
個人的に店頭を調査中、平日の夕方に若者向けのSCやファッションビルに行くと高校生から大学生くらいの方でごった返しています。そんな状況を見ていつも「ファッション離れどこいった?」と思っていますが、市場規模の低下だけで言っているなら大きな誤解です。若者は依然、ファッションに対して興味がありますし、むしろ今まで興味を持たなかったであろう層までもが服を買いにくるケースも増えているのです。業界内ではファッションの大衆化をよく思わない人も少なからずいますが、より多くの人がファッションに触れ、高揚感を感じれるなら業界人としては非常に喜ばしい事なんではないでしょうか。