バーゲンは必ずしも悪ではない

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洋服のデフレが続いて各ブランドの収益が悪化したことから、業界では「バーゲンセールは悪」と見なす風潮が強まっているように感じます。

しかしこれは果たして正しい見方なのでしょうか?

まず、実情に沿っていないことが挙げられます。

バーゲンセール=悪という観念はわからないではないですが、では実際の店頭はどうなっているのでしょうか?常に値引き販売が行われています。西友も真っ青の「KY(カカクヤス)」が毎日行われていてエブリデーロープライスはスーパーマーケットではなく洋服店という有様です。

そういう状況で「バーゲンは悪だ」と叫んだところで、何を言っているのかということになります。

次に、もし洋服が売れ残った場合は、これを処分する手段は2つしかないということです。

1、値引きをして投げ売りする

2、減損処理をして廃棄する

この2つしかありません。

第3の選択肢として、バッタ屋に安値で払い下げるという手もありますが、いずれにせよ、そのままの値段では通用しないということです。

そして、不良在庫を抱え込めば今度は資金が苦しくなり、新しい商品を仕入れたり製造したりすることができなくなり、ますます店頭は売れなくなります。

ますます売れないからさらに不良在庫が増えるという悪循環スパイラルに陥ります。

数人でやっていて売上高が2~3億円程度のブランドは高単価商品を企画製造・販売している場合が多いので、ブランドステイタスを守るためにも減損処理をして廃棄する場合が多く見られますが、売上高が50億円とか100億円とかになると、廃棄するにしても量が多すぎます。

そうなると、こういうマスブランドは、不良在庫はバーゲンで投げ売りして現金化するのがもっとも効率的だといえます。

そして、その現金で新しい商品を仕入れたり製造したりして売上高や利益を回復させなければなりません。

これが正しいバーゲンの在り方です。

「バーゲン=悪」なのではありません。悪かもしれませんが、必要悪だと考えた方が適切でしょう。

問題は不良在庫をバーゲン販売することではありません。アパレル業界の問題は、不良在庫をバーゲンで売りさばいて現金化したのに、新しく用意した商品の売れ行きがまたしても不振だということにあります。

「売れる」商品を仕入れられない・企画製造できない、というのが現在のアパレル業界の病巣だといえます。

不良在庫をバーゲンで売りさばくまでは良かったのですが、また「売れない」商品を仕入れたり企画製造したりしていて、それが延々と続いてしまうのが現在のアパレル業界です。

ですからいつまでも不良在庫を投げ売りし続けなくてはならず、洋服のデフレが止まらないのです。

そして、ブランドステイタスとやらを気にして、不良在庫を投げ売らずに抱え込んだ場合は資金繰りが厳しくなって経営状態が悪化し、最悪は倒産ということになります。

華麗なる復活を遂げたはずのJクルーが2014年から突如として巨額赤字を計上して現在まで苦しみ続けているのは、無理やりにブランドステイタスを構築するために、不良在庫を投げ売らずに抱え込んだせいではないかと考えられます。そして同じ轍を踏むアパレル企業は我が国にもたくさんあります。典型的な頭の悪いアパレル経営です。

Jクルーは不良在庫を投げ売って現金化し、その金で「売れる」商品を企画製造すべきなのです。この理屈がわからないファッション業界人は我が国にもたくさんいます。そしてその結果が現在のアパレル不況となっているのです。

 

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南 充浩
About 南 充浩 126 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】

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