アパレル・衣料品業界の奇妙な習性

先日、異業種に進んだ大学の同級生と飲みましたが「アパレル業界は最先端やろ」と言われました。

異業種の人と話すとこういう誤解が少なくないのですが、アパレル業界は最先端どころか最後端に近いのではないかと個人的には考えています。

情報のディスクロージャーがあまり進んでいません。調べればすぐにわかるような部分を妙に隠したがります。

 

アウトレットモールができ始めたころのことです。

ワールドという大手アパレルが「ネクストドア」という奇妙な屋号で出店し始めました。恐らく今でも屋号は変わっていないと思います。

正直にいえば「ネクストドア」なんていう奇妙な屋号よりも「ワールドアウトレットストア」の方がはるかにお客にとってはわかりやすいのです。

繊維業界紙記者だった当方は素直に尋ねました。

すると

「現在の主要販路であるファッションビルや百貨店、専門店に不安を与えないように屋号を変えた」

というような意味合いの返答がありました。

それもそうかと何となく納得しましたが、そのうち、ファッションビルや百貨店、他社アパレルから

「ネクストドアはワールドのアウトレット店ですよ」

とこちらが逆にレクチャーされることが増えました。(笑)

そりゃそうですよね。デベロッパー側が調べればすぐに運営会社なんてわかります。じゃあ、「ネクストドア」として出自を隠した意味はあったのでしょうか。ほんの何か月間はあったかもしれませんが、身バレはすぐにしますから、まったく意味がなかったといえます。

 

時は流れて約20年後の現在。

 

先日、某ワークカジュアルブランド(以降、ワーカジブランド)の卸売り店舗数が200店を越えました。

じゃあ、その販路を公開してニュースリリースを流しましょうという話になりました。

量販店・・・50店

ワーキングショップ・・・60店

ホームセンター・・・100店

カジュアル店・・・・40店

というような具合です。(あくまでも仮定の数字)

しかし、待てど暮らせどその後の連絡がありません。仕方がないのでこちらからワーカジブランドに連絡をすると

「ワーキングショップやホームセンターが店舗数を公開することに難色を示している」

と言います。

まったく理解できません。

例えば

「ワークマン水無瀬店」のように店名を明示することに難色を示すなら理解できますが、取り扱い店舗数を明示されてどこが困るのでしょうか。

しかし、それが堂々とまかり通るのが残念なことに我がアパレル・衣料品業界なのです。

ですから斜陽産業と呼ばれるほどに衰退してしまったのです。

 

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南 充浩
About 南 充浩 163 Articles
1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシヤルブログ( http://minamimitsuhiro.info/ )】