一世を風靡した「カリスマ店員」が見た平成リアルクローズ史森本容子の過去・現在・未来
元エゴイストのカリスマ店員、森本容子さんの記事を読み、当時の事を懐かしく思い出していました。僕が新卒でアパレル企業に入社した頃は、カリスマ店員と呼ばれる人たちは半ば伝説化したような存在になっていましたが、ギャル系と呼ばれるブランドには求心力の強い販売員さんがまだ複数いたように思います。ただ、今の時代と違ってソーシャルメディアもミクシィがメインで使われていて、フォロワーで影響力が可視化される事が無かった時代です。マスメディアの一方通行な情報発信では、いくらカリスマ販売員と言えど、一般的に知られる事はほとんどありませんでした。有名になりたければ、それこそ雑誌の読者モデルにでも応募する方が近道でしたから。
○センスに依存する組織は弱い?
そんな「カリスマ」と呼ばれる人たちですが、何がそんなにすごいのでしょうか。僕が知る限りのカリスマ店員たちは、「ちょっと集客が少ないな」と思ったらサッとマネキンのコーディネートを変え、それだけで急に人が入るようになった…とか、伝説的なお話というか再現性が無いと言うか…。すごい技術なんだけど、センスやその人の持つパワーに頼ったようなものが多かったかと思います。それはそれでいい事なんですが、組織としては売上やノウハウがそのカリスマに依存してしまう、つまり属人化される訳です。その人が組織から抜けてしまったら代わりにその業務をこなせる人がいなくなるんです。それは強い組織とは言えない訳で。そもそも売上の理由を「センス」なんて言葉で済ませてたら、マーケティングはこの世に必要ありませんからね。
○技術の理論化こそ教育に必要
結局何が言いたいかと言いますと、成功事例が出たらそれは何故起こって、どうしたらまた再現できるのか?を考えないといけません。誰でもとは言いませんが、ある一定の水準を満たした人材であるなら同じ結果を生み出せるノウハウ。つまり技術を理論化し、それを継承していける仕組みが必要ではないかと。トプセラ主宰の四元氏が当初からいつも言ってる事と繋がりますね。ファッション教育の真髄もここにあると思っていて、このスキームを作り出す事こそが業界に求められているのではないかと思うのです。
これはスタープレイヤーを否定するものではありません。が、この理論化が無いと結局、人材の底上げは難しいでしょう。特に販売員は、人によって勝ちパターンが全然違ったりしますから、それも踏まえた上で教育を施さないといけない。
カリスマ依存から脱却するキッカケに。今後、トプセラがそんなそんな存在になれたらと思っております。