今年の初め、ユニクロが葛飾北斎の浮世絵をモチーフとしたスエットやTシャツシリーズ「北斎ブルー」が発売され、それがパリで人気だと報道されました。
パリ・ユニクロ UTの「北斎ブルー」大ヒット
https://senken.co.jp/posts/paris-uniqlo-hokusaiblue-180107
スエットを店頭で見ましたが、たしかに悪くない出来です。
和柄の洋服は大概がマイルドヤンキー系にしかならないのですが、そこまで下品にはなっておらず、上手くアレンジされていると思いました。
しかし、このスエット、今では990円で投げ売られています。秋に向けて一枚買ってみようかと思ったりしています。(笑)
このブルーのスエットを見ていると、今春、各社がこぞって発売していたインディゴ染めのスエット、綿セーターを思い出してしまいます。
当方は、インディゴ染めに何の愛着もありませんが、どうして、あんなに「扱い難い」インディゴ染めのスエットや綿セーターを各社がこぞって発売したのか甚だ理解に苦しみます。
一説では、白いシャツやバッグに色移りしたと、買ったお客から少なからぬクレームがあったと言われています。
そして、そのクレームに泡を食らった某大手セレクトショップが商品を回収して工場に不法返品してしまったとも言われています。
そもそもインディゴ染めのアイテムは色移り、色落ちしやすいという性質を持っています。これはインディゴ染料を使用している時点では変えようがないのです。
ジーンズは特殊な商品を除けば基本的に色落ちします。それを理解していれば、たとえスエットだろうが綿セーターだろうが同じように色落ちすると、どうしてその結論に至れないのかが不思議でなりません。
これが、近所でキュウリを買ったついでに服を買うような低価格店ならまだしも、それなりの商品知識を持っていなければならない大手セレクトショップがやっているのですから、店頭・本部の人材の劣化は目を覆うばかりです。
店頭で、お客に「インディゴ染めなので色移りする危険性があります」と説明できない販売員も大概がアレですが、そういう危険性のあるアイテムの導入を決めた本部スタッフ、MD、はてはそれを許可した役員まですべて同罪です。
導入を決めた本部スタッフはインディゴ染料の特性すら知らなかったのでしょうか?もしそうなら勉強不足も甚だしいと言わねばなりません。もちろんMDや役員も同様です。
アパレル・ファッション業界は、製造に関する知識がどんどんと失われており、製造現場との乖離が進むばかりです。低価格店ならそれも致し方ないといえますが、無駄に「接客がー」と喧しいセレクトショップこそ、本来はこの手の知識を持ち、お客にきちんと伝えなくてはなりません。そこそこに高い商品を売っているのですから。