アパレルの未来について考えてみた事

先日、東洋経済新報社様より1冊の本を頂きました。

 

2030年アパレルの未来」というタイトル。僕が新卒で入社した10数年前から、既に「アパレルはもう天井が見えた」とか「斜陽だ」とか色々言われており、業界に入ったばかりで夢見がちな僕は大層ショックを受けた事を覚えています。ただ、10数年間この業界に従事していると少なからず思う事もある訳で。「10年先の事なんかわかんねーよ」と少し思いながら何となく自分なりに思う事をここに記載しておきたいと思います。

誰がアパレルの未来を作るのか – 「2030年アパレルの未来」書評

 

(書評に関しては上記をご覧ください。)

 

参入障壁は上がる

欧米と比較すると、日本のマーケットってまだまだ中価格帯ブランドが非常に多いと思うのです。しかし、昨今のアパレル国内ランキングを見ていますと、トップ10の合計金額は過去より伸びています。勝ち組と負け組がはっきりしてきていますし、ファーストリテイリングはアパレル国内市場の10%近くのシェアを取得しています。学校の授業でも学生さんにはしきりに「ユニクロ・GUとは戦うな」と教えているのですが、参入障壁がどんどん上がっているように感じます。

一部ではD2C系ブランドがどんどん生まれてきており新規参入が多く見られますが、これが継続的かどうかは個人的には懐疑的です。昨今は資金調達が容易になってきており、事業自体を起こすハードルが下がっています。しかし、ECメインでの販売手法は在庫がたまりやすく、その処理をどうするのかが肝になるかと。SNSのフォロワー数とオンラインの会員数やトラフィック、そして売上高を伸ばしさえすれば最終的に事業売却しやすくなるのでしょうか。VCからの出資金で資金調達するって事は、最後は上場か売却になるのですから。

 

コミュニティ形成できるブランドが残る

そんな中、自前の経済圏を拡大できているブランドはこんな状況でもまだまだ元気ですね。規模拡大できるかと言われると、難しい面もあるでしょうけど。

当事者の熱量がブランドを成功へと導く

 

以前、トプセラでも書きましたが、中心人物の熱量がすごいブランドはコミュニティ形成に成功しているように思います。売れた理由が属人化されすぎていて、売り方は理論化できたとしても、全く再現性無いでしょう。消化率どうなってるのか不明ですけど、自己資金で始めている人たちってそんな無茶してないと思います。(あくまで推測ですが。)

 

アウトレットに勝機

EC全盛の時代だからこそ、実はアウトレットって注目だと思ってます。再三申し上げていますが、ECは消化率が悪いので当然在庫がたまります。大手アパレルは大体アウトレット店舗持ってますから、最後はアウトレットで在庫消化できます。つまり今、アウトレットの在庫は潤沢なはずです。バッタ屋と言われる在庫処分の業者のお話を聞いていても、某有名ブランドからの在庫が年間で数十万点も流れてくるとの事です。表に出てきやすいお仕事ではないので、あまり注目している人は少なそうですが。

 

取り留めない内容になってすみません。業界の未来に関しては賛否両論あるでしょうけど、普段から現場にいて感じるのはこんなところでしょうか。悲観論が蔓延る業界ではありますが、それでもまだやりようはあると思います。

ビジネスインフルエンサーはよく「未来の事を考える意味は無い」と言っており、それは確かにその通りかもしれません。しかし、ただ未来を予測するのではなく、理想の未来を築いていこうする事には大きな意味があるのではないでしょうか。

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深地雅也
About 深地雅也 155 Articles
株式会社StylePicks CEO。コンテンツマーケティングをメインに、ECサイト構築・運用・コンサルティング、ブランディング戦略立案、オウンドメディア構築、販促企画などをやってます。最近はODM・OEMメーカーのブランド設立支援、IT企業のアドバイザー、服飾専門学校講師、ライター業なども手がけてます。