明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
関西では15日までが松の内なのでご了承ください。
アパレル業界にとっては厳しい年が続くと思いますが、何とか生き延びましょう。
洋服に限らず、和装も含めて業界関係者や売り手側が思っていることは、予想以上に消費者には伝わっていないと最近しみじみと思います。
例えば、素材についてのメリットデメリットですが、一般消費者にはほとんど伝わっていません。
カシミヤのニットが高級であることは消費者には伝わっていて、そのことに関しては認知度もかなり高いです。ですからユニクロが9990円でカシミヤニットを発売すれば「安い」という反応になるわけです。しかし、カシミヤは手洗いなら水洗いできることを消費者はあまりしりません。業界関係者からすると常識なのですが、それは一般消費者にとっては常識ではありません。
シルクについても同じです。シルクは高級素材として知られています。その一方で、家庭洗濯が難しく、保管も難しくて油断をすると虫に喰われて穴が開きます。あと変色しやすく、濡れた状態での摩擦にも弱いとされています。高級素材である一方、というより高級素材だからこそのデメリットもたくさんあるわけです。そしてこれらのデメリットは割合に広くしられています。
ところが、某和装関係者に言わせると「シルクは洗える」のだそうです。和装関係者はさも常識かのようにコメントしており「知らない方が悪い」というようなニュアンスに見えました(被害妄想かもしれません)が、逆に、「洗える」ということを一般消費者に認知させられなかった業界側に問題があると思います。
これらのデメリットが数多くあるがゆえに、シルクは一般消費者から敬遠されがちで、ユニクロでさえ販売には成功していません。一般消費者にすればいくら高級素材のシルクが値下がりしてもメンテナンスがめんどくさいならそんなものは要らないというわけです。
業界をウロウロしていると
「良い物なのに売れない」とか「良い物なのにわかってもらえない」という嘆きの声をよく聞きます。
その原因は、商品の良さが十分に消費者に伝わっていないからではないでしょうか?
もちろん、声を大にして懇切丁寧に説明してもさっぱり理解してもらえないということもあったでしょう。しかし、説明の仕方や説明方法が適切だったでしょうか?
物作りの人には理解されがたいかもしれませんが、マーケティングにおいては
「知られていないのは存在しないのも同然」
なのです。
認知されていないということは選択肢にも入らないということになります。
シルクが洗えるということをもっと多くの人が知っていれば、ユニクロのシルクはもっと売れたでしょうし、何よりもシルクの和装の落ち込みはもう少しマシだったかもしれません。何よりもシルクの衣料品自体がもう少しシェアを高められたかもしれません。
物の品質が高いとか低いとか、デザインが今っぽいとかダサいとか、そういうことも大事ですが、それよりも重要なのは「知られてナンボ」ということです。
繊維・アパレル・和装業界は本当にその部分が弱すぎると改めて年始早々に感じています。
そんなわけで今年もよろしくお願いしまーす。