「カルテ」とも呼ぶお客様台帳は化粧品販売店において命です。
これまでお聞かせいただいたお客様の好み・お肌の一年を通しての傾向
これを管理して把握できているからお客様は信頼して肌を任せていただけます。
お話をして、お悩みをお聞きしてアドバイスする。
→そのアドバイスを受けてできそうなこと・難しいことを仰っていただきお客様に合った美容習慣を一緒に考え探していく。
この流れを実現するには、お客様との信頼関係が不可欠になります。
「この販売員は私を分かってくれている」「この店に私の美容を任せている」と思っていただくためには情報の管理が欠かせません。
そのために多くの店舗やブランドではこれまでの接客内容を記すお客様台帳が活用されています。
では実際に化粧品販売員は台帳に何を書いているのか、様々なブランド担当者から話を伺い良いところを集めた内容をご紹介していきます。
お客様の基本情報
・名前
・住所
・電話番号
・DМ(ダイレクトメール)の可否
・誕生日(ご年代)
ここはまず基本ですよね
たいていレジをお待ちの間など接客の一番最後にご記入いただくことが多いです。
しかしお名前欄だけでも「本日担当させていただきます○○です。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と接客前にお聞きし記入できているとその後の接客がスムーズになります。
またこだわりたいところが「DMの可否」
ここでDMを送る許可をいただけるか否かで再来店率が大きく変わってきます。
DMを許可いただくことで様々なアフターサポートが可能になります。
例えば、
・その後の肌変化をお伺いしてオススメの商品サンプルをお送りする
ex)スキンケアのご使用感はいかがですか?前回はべたつきが気になられるとのことでしたので、夏になったことでニキビなどの肌トラブルは出ていませんでしょうか?もし気になられる場合はこの季節は「取り除くケア」がポイントになりますので同封のクレンジングをぜひお試しください。
・新製品やオススメアイテムのお知らせ
サンプルが同封していると店頭にいらっしゃらなくてもお試しいただけるので、自ブランドに親しみを感じていただきやすい効果もあります。
・メイクの体験会などイベントのお誘い
黙ってご記入いただくとなんとなく「不可」にチェックを入れがちです。
「新製品のサンプル郵送なども行っておりますがいかがなさいますか?」と一言添えてお願いすると「要」にしていただきやすいですよ。
次はお客様に合った商品をお選びするための項目です。
用意のカウンセリングシートがある場合はそれに沿ってお聞きしていくと分かりやすいです。
スキンケアについて
・普段お使いのアイテム
・一番解決したいと思う肌悩み、次点で気になる肌悩み
・スキンケアに何の効果を求めるのか(保湿・美白・エイジングケア等)
・乾燥はしやすいのか
・肌荒れするならどんなタイミングで起こりやすいのか
・肌に合わないものはあるか
・好みの感触や香り
・苦手な後肌や香りはあるか
・スキンケアはじっくりしたいか短時間にしたいか
お悩みを踏まえて伝えた美容部員からのアドバイスも共有しておくと、次回以降お客様がどのスタッフにあたっても一貫性のあるご提案が出来るようになります。
メイクについて
・好きなアイテム
・好きな色
・苦手な色
・なりたいイメージ
・質感のお好み(ツヤ肌・セミマット肌など)
・普段どれくらい時間を掛けるのか
・アレンジの幅が広い方がお好きか、シンプルに毎日使えるものが良いか
・今ご使用のアイテム
・特にカバーしたい場所
・肌に合わなかった製品の有無
メイクアイテムからの接客は「こちらきれいですよね!お色味あわせてみて下さい」といった風に商品からの入りになりやすいですが、タイミングよく上記の辺りを伺えるとメイク提案がお客様に合ったものになります。
ご来店回数が増えるにつれ分かってきたことも書き足すとお店とお客様との信頼関係が出来てきやすいです。
プライベートな情報
・ご職業
・ご結婚やお子様の有無
こちらは無理に聞き出す必要はありませんが、お話の中でさらっと出てきた場合は書き留めておきます。
お客様の生活ルーティンやメイクやスキンケアがお客様の生活にどのように必要なのかが分かりやすくなります。
・ご来店のタイミング
いつもご来店は何かのついで?(近くのジムとか、職場の近くとか)
お仕事前など時間が取れないことが多いのか
お客様のプライベートなお話に関しては、台帳に記録する際もその情報を見てお声がけする際にも細心の注意が必要です。
余談ですが
私は以前美容室で「同窓会に初恋の子が来るかもしれなくて…」といった話をしたとき「ああそれカルテで見ました。」と言われ羞恥心でいたたまれなくなったことがあります。
「これは事前情報として持っていた方がいいな」という内容と「これは知っておくべきだけど全接客者に共有はされたくないだろうな」という内容を見極めることって大切ですね。
毎回の接客の記録
・ご来店日
・ご購入商品
・お渡ししたサンプル
・ご来店日の肌悩み
・前回の肌悩みの変化
・接客の中で出たキーワード
このキーワードは次の接客のときに「あ!そうそう」と接客者自身がこの日のお客様とのお話を思い出せるきっかけになります。
お客様は覚えていらっしゃるのに接客者が忘れていて「それ前も伝えたのにな…」と思われるのはとても残念なので、私のように覚えることが苦手な方はなるべく詳しく書く癖をつけておくと後々救われることが多いかと思います。
化粧品という毎日使う日用品を用いてお客様に寄り添った接客を目指すには、お客様を知ることは何よりも大切です。
そして教えていただいた貴重な情報をその場だけのものにせず、ご来店の度に居心地よく感じていただけるよう記録することも大切ですよね。
台帳管理を徹底することでより質の高い接客ができるようになります。
ぜひ参考にしてください。