皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田直哉です。今年は働き方にも大きな変化が起きています。職種によってはフルリモートでの勤務となり、例え同じ仕事でも違った環境で進めることの難しさを感じている方も多いはず。しかしながらそれ以上に大きな苦労を伴っているのが転職後のスタートからリモートワークで働く人たち。ご入社後間もない方からの相談が例年以上に多く寄せられています。
今日は転職を考える際に必要な覚悟や注意点についてお話したいと思います。
周りに支えられていての「今」を理解すること
「キャリアアップ」に繋がる選択として転職を決断される方も多いと思います。世の中的にも転職とキャリアアップが関連づけて連想されることも多いですよね。
しかしながらそうした華々しいイメージとは裏腹に、転職には痛みも伴います。
例えるなら、中学2年生から中学3年生に進級するようなキャリアアップではなく、中学3年生から高校1年生に進級をするようなキャリアアップが転職です。ここをちゃんとイメージできていないと入社後のギャップに苦しみます。
前には進んでいるものの、もう一度1年生からやり直しになるというのが転職です。その職種におけるベテランであろうが役職者であろうが、全員が新入社員として新たな仕事をスタートさせることになります。先ほどの例えに戻ると、これまで最上級生として自分がやりやすいように過ごせていた居心地の良い立ち位置から、もう1回先輩だらけの環境に新人として入ることになるので、その落差は想像している以上に大きな変化があります。
その落差への覚悟が持てぬまま転職をしてしまうと…
「なんか社風と合わない」
「前職でのやり方の方がよかったな…」
などと、その原因を外側においてしまい(つまり他責性が強くなり)、入社早々に転職を考え始めてしまうなんてケースも良くあります。でも、多くの場合原因は外側ではなく自分の内側にあります。
まずは自分自身が前の職場で出せていた実績や成果は、目に見えない居心地の良さや周りからのサポートの上に成り立っているということをまずはしっかりと自覚すべきです。
例えば当たり前のように使っていた社内用語や何か情報を得たい場合にその情報は誰に聞けば教えてもらえるのか、使い慣れた社内システム… などなどそれらが当たり前レベルに慣れ親しんでいるからこそ効率的に働けている部分は大きい。転職をするとそうしたものがゼロリセットされてからのスタートになるので、当然最初の頃は「めちゃくちゃやりづらい」状況に囲まれます。勝手が効かない分、パフォーマンスも出しづらい時期が続くことも多いです。
転職する前であればそうしたスタート時のやりづらさも覚悟できているかを、転職後であればそうした状況にあるという事実を冷静に客観視しながら、自分自身と向き合う必要があります。
その上で、貪欲に新入社員として早期キャッチアップを目指す姿勢が何よりも大事です。
試用期間=お試し期間ではない
一方、早期で転職を考えての相談で多く見受けられるのが「試用期間」についての間違った認識。
「どうせやめるなら試用期間中に退職した方が良いと思って」
「試用期間中であれば経歴に残らないので」
これ、どちらも間違った認識です。
試用期間もそこで就業している事実は変わらないですし、当然履歴としても残ります。少し話は逸れますが試用期間で就業していた職歴は履歴書に記載しなくて良いと思っている方も結構多いですが、試用期間だとしても全て記載しなければ行けません。書かなければ経歴詐称と捉えられる可能性があります。
会社側も試用期間だからといって解雇しやすいというわけではありません。客観的に正当な理由が必要になり、その基準は正式採用後とほとんど変わりがありません。「思ったより仕事ができなかった」程度では解雇することができないんです。
話を戻しますが、退職のタイミングと試用期間であるかどうかは全く何の関係もないのでそこを基準に考えても意味がありません。
もちろん、「入社してみたら酷い労働環境だった」「精神的に追い込まれてしまった」というような場合にはすぐにでも転職を考えた方が良いですが、そうした場合を除けば、先ほどあげた「周囲の環境に順応」できるようになるまでは判断を早まるべきでは無いです。人にもよると思いますが目安としては1年、どんなに早くても半年は様子を見てから判断をした方が良い決断に繋がるでしょう。
人は成長をする際に必ず「成長痛」を伴います。これは誰もが通る痛みです。今感じているやりにくさや苦しみが「成長痛」なのかどうかを冷静に判断するようにしましょう。時には周りに相談して客観的に意見を求めることも重要です。
それではまた次回!