あなたにとっての安定とは?

皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田直哉です。
一気に冷え込みが増し、今年の終わりを意識する季節となってきました。予想もしなかったことの連続だった1年。結果として世界中の多くの人々が大きな学びを得た1年でもあります。

今までの「当たり前」の「有り難さ」

急速なIT化への対応

価値観の変化、多様化

数え上げればキリがないほど多くの変化に直面し、さらには自らの変化をも求められる毎日でした。そしてこの動きは今の所まだ終わりが見えず、新ルール下にて不確実性の高い日々と向き合っていく覚悟が引き続き求められます。

今日はそうした環境の変化に対して自身のキャリアをどう考えていくべきか。具体的にどう行動に移していくべきかのヒントをまとめたいと思います。

安定した会社とは!?

人材ビジネスに従事していると、ご相談の内容からいち早く各企業の現況や情報が集まってきます。そして、私はこの仕事について14年目になりますが、これまでの経験の中でもこのコロナが与える雇用への影響は最も大きいものであったと感じています。

そんな中ここ最近でリストラに関する情報が続いて入ってきました。まだ世の中には公表されていない情報なので詳細は控えますがいずれも大手企業におけるリストラです。

リーマンショックの時にも同じように感じましたが、やはり日本における「安定」の意味が大きく変わってきています。では何がそう変わってきているのか。皆さんが自分事としてしっかりと押さえられるように少し遡ってお話しさせていただきます。

キャリア相談でお話を伺っていくと「安定した会社で働きたい」「長く働ける会社で働きたい」という要望を良く聞きます。そしてこうした相談の場合には必ず聞くようにしている質問があります。

安定した会社とは例えばどういった会社をイメージされますか?

どういう会社であれば長く働けると思いますか?

この2つの質問をぶつけるとほとんどの方が具体化できておらず、なんとなくのイメージで答えているケースが多いです。そしてそれは雇用に関する捉え方やイメージが昔のままで止まってしまっている事を意味しています。

人事制度の裏側にある時代背景

皆さんも一度は耳にされていると思いますが、日本では急激に経済成長と遂げた高度経済成長期がありました。その期間は1955年~1973年と言われています。その期間というのは労働人口も充実していて世界中から仕事が集まるような状態。各企業も毎年のように成長し続け絶好調の時代です。

こうした時代においては、会社が終身雇用として一生面倒をみる代わりに働く側は会社の言うことを聞く(全国転勤や異動など)という主従関係が暗黙のうちに成立していました。そのため昔は転職をするということが裏切り行為であるというような風潮がありました。

一方で終身雇用を前提とするのであれば、会社さえ存続していれば雇用は保証されますので「安定=大手企業」という図式が成り立っていました。要は潰れる可能性が低い会社で働くことが自分の雇用を安定させる最善の策だったわけです。

しかしなぜこうしたことが成り立ったのかと言えば「成長し続ける絶好調な時期であった」にすぎません。制度として優れていたわけではなく、たまたま高度経済成長期であったが故に成立した関係値だったのです。

1990年代を境に労働人口の減少傾向が見られるようになり、昨今では深刻な人手不足が叫ばれるようにもなりました。経済成長も行き詰まりを見せ、以前のような終身雇用を前提とした雇用関係は、環境の変化が猛スピードで起こり続ける現在においては制度疲労を起こしています。そして企業側もそこで働くスタッフの一生の雇用を保証できる力はもうすでに失われている状況です。

そうした結果が、昨今のリストラという現実に繋がります。確かに会社の存続という意味では大手企業の方が一定の安心感はあります。しかしながら会社の存続=雇用の保証というのは昔の話で、会社の存続のためにリストラを慣行という状況が珍しくない時代となっているのです。

自身のキャリアに安定を求める時代

では、雇用の安定とは一体何なのでしょうか。

それはまさに「強いキャリア」の構築です。

時代は、会社に安定を求める時代から自身のキャリアに安定を求める時代になったのです。そうした意味において大手企業での経験が強いキャリアに繋がるかというと必ずしもそうではなく、むしろ幅の狭いキャリア(その会社の中でしか通じない経験)となってしまうというリスクすらあります。

では強いキャリアを構築するためにまずすべきことは何か。まずは現在地の確認です。

これまでは会社の枠組みの中でしかキャリアを図る術はありませんでした。同じ職務に就く同僚と比較して自分はどういう位置にいるのか。しかしながらそれでは井の中の蛙状態。強いキャリアとはその会社の中ではなく世の中的に必要とされる経験かどうかが全てです。現在はこれだけITが発達している中、社外の情報も容易に取りやすくなっています。またSNSやセミナーなど社外の方と直接繋がることすらできてしまう時代です。社内にだけではなく、会社の外にも目を向けましょう。どんどん外に出ていきましょう。

これは決して転職しましょうという意味ではありません。あくまでも自分が世の中の同職種の人たちの中でどのぐらいスキルを持っているのかを把握することが目的です。仕事上でも競合他社のお店を見に行ったり接客を受けてみたりしますよね?それと同じことです。キャリアに不安や迷いを抱える一方で、こうした誰にでもやろうと思えばできる努力を怠ってしまう人が多い。これからどうキャリアデザインしていくのかを考える上でまず最初のスタート地点はそこです。

そして自分の現在地がわかりさえすれば、どの方向にどれだけの工夫や努力が必要なのか初めて見えてきます。

将来の自分のために、まずは一歩踏み出してみることから始めてみてはいかがでしょうか?

それではまた次回!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。