フリーランスの向き不向きを考えてみた

皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田直哉です。

いよいよ2020年も最後の1ヶ月。今年は忘年会なども大きく縮小されこれまでとは違った年越しとなりそうですね。もちろん今月も来月も今年も来年も、いつもと同じように今日と明日はつながっていますが、やはり年末というのは気持ちの上でも一つの区切りを付けやすいタイミング。今年はゆっくりとこれまでの自分を振り返り、これからの自分を考える。そんな時間を過ごされる方も多いのではないでしょうか。

私は2018年の1月にフリーランスとして独立をしたのですが、そこから3年間は会社員時代とはまた異なる濃度の時間を過ごしてきました。そして最近もフリーランスとしての働き方を考えている方からの相談が非常に多く寄せられます。

そこで、今年最後のトプセラ では、これまでの自身の体験談を踏まえフリーランスとしてやっていく上で大切なこと、向いている人向かない人の特徴をお伝えしたいと思います。これからフリーランスを考えている方も、実際にフリーランスとして働いている方も、是非参考にしてみてください

フリーランスって本当に自由?

まず、会社員時代を比較して具体的にはどんな違いがあるのかを改めて整理してみると…

【働く場所】

オフィス→その時最適な場所

今年はテレワークの推進もあり、フリーランスに限らず皆さんの中にも働く場所が自由になった方もいるかと思います。が、オフィスに行くという選択肢がなくなるということは結構大きいかなと思っています。言い方を変えると「自由オフィスに行ける権利を失う」ことも意味します。仕事内容にもよりますが基本一人です。そして今まで無料で利用できていた働く場所もお金が掛かってきます。カフェで打ち合わせをすればもちろん自腹ですし、コワーキングスペースを借りるのもお金が掛かります。自宅仕事であれば別途場所代を支払う必要はないですが、在宅時間が長くなる分光熱費は膨らみます。そして、一人で仕事するのでいろんな意味で自立していないと仕事も進みません。不安にもなります。サボります。笑

【働く時間】

就業時間内→自分で自由に決定(というより無制限)

会社員時代は基本的には就業時間が定められていて土日休み。もちろん日によって残業などもありますがある程度一定のリズムを保ちながら働いていました。フリーランスになると働く時間も完全に自由だし融通も効きやすくなります。とは言えクライアントとの調整もあるので始業時間はほぼ一定。更には引き受けた仕事は他に振ることもできないので、平日も土日も関係なく動くことが増えます。逆に言えば待っていれば仕事を振られるという環境ではなくなるため、目の前の仕事に全力を注ぎつつもその先の仕事をどうやって取っていくか、どうやって自身のスキルを向上させていくか、などなど考えることははっきり言って無限。この環境を楽しめる人じゃなければ正直厳しいのでは…と思います。

【仕事】

会社から与えられる→自分で獲得してくる

肝心の仕事自体を獲得することからがスタート。特に初めのうちはまずは実績作りの段階なので紹介で得られる仕事もほとんどないという覚悟が必要。「仕事がない、上手くいかない=収入がない」というハイプレッシャーな毎日。ここに関して言えばそうしたプレッシャーに強い人が向いてます!というわけではなく、こうしたプレッシャーを勘案しても余裕を持てる状態かどうかを判断基準にした方が良いですね。フリーランスとして独立しても仕事を依頼してくれるクライアントがある程度見込めるという状況もしくは収入が一定期間なくても何とか生活していけるだけの貯蓄とか。この辺りが揃わない状態でフリーランスを目指すのは挑戦ではなくギャンブルです。そしてフリーランスを名乗る方の中にはよくよく話を聞くと、誰かから仕事を「振ってもらい待ち」でいくつかの仕事を掛け持ちしている人もいますが、これはフリーランスではなくフリーターです。個人事業主として自らがオーナーとなって仕事を獲得してくる力が必要となります。職種に関係なく自分自身で泥臭い営業活動が必要になることもあります。誰かに依存するのではなく、自分で仕事を獲得できるかどうかを想像してみてください。

【その他】

フリーランスになると保険も納税も売上収支管理も全て自己負担、自己管理となります。アウトソースするのも一つですが当然そこには追加でコストが掛かってきますし、自分でやるとしても本当に大変。今まで会社がやってくれていたことに激しく感謝する日々が続きます。そして保険や税金が想像以上に高い…。売上が全て自分の収入になるわけではないのでここは注意が必要です。この辺りもちゃんと管理できるかどうかもしっかり考えた方が良いポイントです。

その他細かいことを挙げれば、自分の肩書きをどうするかとか、名刺のデザインどうするかとか、領収書をどう管理するかとか、、、とにかく自分で考えて動いていかなければいけないので日々決断の連続です。決断力が弱い人はフリーランスに向いてないと思います。

フリーランスとして一番大事なことは?

このように会社員とフリーランスの違いは色々あります。何となくフリーランスのイメージって何にも縛られずに自由を謳歌できる!みたいに思われがちですが、自由であることって本当に大変。どんなに仕事が上手くいっていてもふとした瞬間に不安に襲われることなんてしょっちゅうあります。ただ、自分の場合はそれらを差し引いてもやはりフリーランスで得られることの大きさや魅力を十分に感じてきましたし、本当にチャレンジして良かったなと思っています。

そんな自分の体験から、「フリーランスとしてやっていく上で一番大事なことは何か」に答えるとするならば、「約束を守ること」と即答します。

大きな話で言えば合意に至った契約内容や約束事を守ることは当然そうですが、納期を守ること、連絡することを守ること、アポイントを守ること。とにかく相手との約束は必ず守れる人でなければフリーランスとしてやっていくのは難しいと思っています。理由はリカバリーができないからです。

会社員時代の場合は仮に失敗したとしても会社としての信頼があればそのまま契約も継続されることがほとんどですよね。ところがフリーランスでは自分の顔で仕事をしていかなければいけません。信頼関係が崩れてしまうと挽回のチャンスすら与えられず、他の人に仕事が奪われます。実際にフリーランスとして仕事をしている方の中にこの辺の意識や危機感が低い人をたまに見かけます。例えば一度クライアントと約束した仕事にも関わらず、完全な自己都合で約束を反故にしてしまうなど。こんな取引をしてしまうのはご法度です。当然そのクライアントから次の依頼がなされることは無くなりますし、そうした評判は恐ろしいほどに広まります。(私もこうした評判を全く関係のないところから耳にすることは本当に多いです。思っている以上に世間は狭い!)

どんなに才能がある人でも、こうした責任感を持ち合わせていなければこの世界で食べていくことは難しいでしょう。

さて、今回はフリーランスに向いている人向いていない人というテーマでまとめてきましたが、振り返ってみるとどうでしょうか。

お気付きの方もいらっしゃると思いますが、これってフリーランスとしてというよりも会社員としても大事なスタンスですよね?つまり、フリーランスとして独立するためにはそれ以前に会社組織の中でもしっかりと実績を残せる力を持っている必要があります。そしてフリーランスとして活躍している人たちを見てみると、会社員時代からクライアントや周囲との信頼関係を大事に築いてきた人ばかりです。

フリーランスになること自体は非常に簡単です。誰でも簡単に書ける開業届を提出するだけなので、この記事を読んでいる貴方もすぐにフリーランスになることはできます。ただ、フリーランスとしてやっていけるかどうかというのは別の話。イメージだけではなく、より具体的にフリーランスとしての働き方を知った上で慎重に判断して欲しいなと思います。

ただ、今回まとめた内容はちょっと厳し目の実情をお伝えしてますが、こうしたことも踏まえて手にした自由は最高です。結果として自分はこちらの方が向いていたなと思っています。(事務処理はいまだにめちゃくちゃ弱いけど笑)そしてフリーランスだからこそ手にできた新たなチャンスもたくさんありました。読者の中にもこれから本気で挑戦したいと思っている方がいれば、本当に心から応援したい気持ちです!

最後に私の古巣であるリクルートの社是であり、今も大事にしている言葉を皆さんにお贈りして締めたいと思います。

「自ら機会を作り出し、機会によって自らを変えよ」

それでは少し早いですが、皆さん良いお年をお迎えください!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。