あなたは答えられる?異業種人事が感じる販売職の弱点

皆さんこんにちは。アパレルキャリア論の吉田です。

新年早々に発令された緊急事態宣言も延期が決まり、アパレル業界は今年も強い向かい風の中を進んでいくことになりそうです。より一層の強い覚悟と工夫が求められます。

そんな状況もあってか昨年から異業種への転職相談も増えておりすでに何名かキャリアチェンジ転職のお手伝いをしているのですが、同業(アパレル)での転職活動とは勝手が異なる部分も多いです。今日はキャリアチェンジ転職をサポートする中で異業種の人事の方から実際にもらったフィードバック実例をもとに販売・店長のキャリアを掘り下げていきたいと思います。

販売職と営業職の違いとは

昨年キャリアチェンジ勉強会と銘打って私の経営するスナックとオンラインとをつないでイベントを行いました。そのイベントの中で自身のキャリアチェンジ経験をベースに販売職と他業界の営業職の違いもお話したのですが、大きく異なる点として「お客さんの方からきてくれる」か「お客さんをつかまえにいくか」の違いは大きいよということを挙げました。(もちろん他業界でもお客さんの方からきてくれるタイプの営業職もありますが)

前者の場合は極論「販売する力」があれば売上を作ることができますが、後者に関しては「まずはどうお客さんと接点を持てるか」という所から考えていかなければいけません。どんなに販売力があってもそれだけでは売上を作ることはできないのです。

この点でキャリアチェンジがうまくいかなかったという実例もたくさん見てきました。まずはこの違いをちゃんと理解し、そこを乗り越える覚悟を持たなければキャリアチェンジは難しいものとなってしまいます。

とまぁ、まずはこの点についてはこのぐらいにしますが、勉強会ではそんな話を掘り下げてお話をさせていただきました。

キャリアチェンジの転職相談を受ける際にもまずはそこのお話から転職支援を進めているわけなのですが、先日某企業の人事からもらった面接後のフィードバックが「なるほど…」と感じるものがあったので皆さんにもご紹介したいと思います。

多くの販売員に見られるマイナス傾向

「やりきり力が弱いですね」

一言でいうとそんなフィードバックでした。そしてその人事は他にもアパレル販売経験者と多数面接をされているそうで、全体感として感じている印象でもあるとのお話でした。逆に販売経験の候補者の中にもきらりと光るものを感じる方もいたそうで、その候補者とその他の候補者との決定的な違いがまさに冒頭の「やりきり力」にあると。

じゃあそのやりきり力ってどういうことなのか。そこについて説明したいと思います。

もしあなたが面接の中でこんな質問をされたらなんて答えますか?

「これまで販売職もしくは店長として、このままだと目標達成が難しそうな状況になったときどんな行動を取ってきましたか?」

この質問、明確な正解があるわけではありません。

その人事曰く、

・お客さんの呼び込みを徹底
・スタッフ全員で改めて商品の魅力を話し合いセールストークを共有
・VMDを変える
・客単価を上げるベくプラスアルファの提案を強化

といった回答が結構多いそうです。
そしてそれに対する印象として「うん、そりゃそうなんだろうな…でも…」という物足りなさを感じることが多いと。

一方前述のきらりと光るものを感じる方の場合は下記の点をしっかりと網羅できている様です。
・まずは徹底した原因分析と現状把握ができている(感覚ではなく数字を見ながら適切な分析力がある)
・その原因に対する「最も効果的な一手」を打てている(考えられる打ち手の数も多く、それらの中から筋の良い戦略を考えられている)
・そもそも早い段階からそうならない様な準備ができている(現状把握力が高く、兆しへの反応が敏感)

これらを網羅できているなと感じる方は、出現率として10%もいない印象だとも言っていました。

残りの90%の方は目標に対して「絶対になんとかするんだ」という熱量や気迫がエピソードの中からあまり感じられず、むしろ未達だとしても「アパレル全体が厳しい中では悪くない方かな」といったある種他人事の様な雰囲気さえ感じることも多いと。

この話を聞いた中で思わず私も「なるほどな…」という感想を持ちました。私自身も多くの販売の方とお会いをしてきましたがここの体感値は結構近いものがあると感じたからです。

そして販売員時代の自分のことも振り返りながらなぜこの様な感じになってしまうのかを客観的に考えてみると、接客チャンスの多さにその原因がある様に思います。

販売職の場合、例えそれが高級商材であったとしても、接客できる回数は少なくとも1日に数回はあるはずです。単価の低い商材であれば週末などは10名以上の接客も当たり前の世界だったりするでしょう。そうなると仮に今対峙しているお客さんをうまく接客できなかったとしても、次のお客さんで取り返せば良いよね!と気持ちを前向きに切り替えていくことができます。しかしながら裏を返すと常に「次」があるという慢心にもつながりやすい。

一方法人営業の場合は商談の数はかなり限られていて、業種によっては1〜2週間に一度しかないなんてことも多いです。裏を返すとその商談を外せば「次が無い」状態と言えます。だからその1度の商談(販売で言えば接客機会)のために徹底的に準備をするんです。そしてもし厳しい状況となった場合にも最後まで諦めずに、何とかできないかとあらゆる打ち手を考え抜いてやりきります。

この一つの接客機会における気持ちの入り方が、その人事の目に映った「やりきり力の弱さ」の正体な気がするのです。

実績のあるトップクラスの販売員や店長の方とお話をすると確かにこの「やりきり力」が圧倒的に違うなと感じます。これはファストファッションだろうがラグジュアリーブランドだろうがどちらにも共通して感じてきたことです。

今この記事を読んでいるあなたの場合はどうでしょうか?

良くも悪くも環境は人を変えます。そしてこうした不況の時に一番注意しなければいけないのは負癖がついてしまうことです。

環境に流されず、自分が良い環境を作るのだという気概を持って目の前の仕事に向き合うこと。そしてやりきること。それこそが未来の豊かなキャリアに繋がる最短の道です。ぜひ今すぐにマインドと行動をセットで変えていきましょう!

では、明日は何から変えましょうか?

それではまた次回お会いしましょう!

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吉田直哉
About 吉田直哉 31 Articles
株式会社ALL IS NEW 代表取締役社長 大学卒業後バーニーズジャパンに入社。販売員としてキャリアをスタート。20代でリクルートへ転職しキャリア支援のキャリアをスタート。その後ファッション業界専門のヘッドハンターとして業界におけるキャリアコンサルティングに従事しつつ、Vice President、執行役員としてマネジメントを経験。 。累計転職相談者は1万人を超える。現在は株式会社ALL IS NEWの代表取締役としてファッション業界のキャリア支援、採用支援をしつつ、「人が繋がるを」コンセプトにしたスナック「BANQUET CIRCUS」の経営や、 文化服装学院の非常勤講師としても活動中。 ファッション業界関係者限定の招待制交流イベント「FASHION SNACK」もプロデュース。また出身地である福島県いわき市にて地方創生事業も展開。