ファッション専門学校へ進学する生徒数は減り続けています。現在、全国のファッション専門学校へ通う総生徒数は1万3000人ほどだといわれていますが、実際はもっと減っているのではないかと感じます。
先日、あるファッション専門学校の校長と話をしたのですが、今年の4月に大阪市内のファッション専門学校へ進学した生徒はついに1000人を割り込んで900人台になったそうです。
大阪府内のファッション専門学校は、上田安子服飾専門学校と大阪文化服飾学院の2強です。すこし遅れて大阪モード学園が続きます。そしてさらにそのあとにマロニエファッションデザイン専門学校という構図です。
その校長によると、その4校の入学者数を合わせると800人くらいになるそうで、残り100数十人強をその他のファッション専門学校で分け合っているという構図になります。もちろん、この4校の生徒数もピーク時より減っています。
ファッション専門学校への進学者数が減り続けているのはどうしてでしょうか?
1つには外的要因が挙げられます。アパレル業界は一部企業を除いて苦戦傾向にありますから、わざわざ不振業界へ進みたいという若い人が減るのは当然のことではないかと思います。
もう1つはファッション専門学校自体の問題です。
現在、ファッション専門学校に来る求人の8割前後は販売員募集です。必然的に販売員に就職する生徒が増えます。しかし、残念なことに販売員として就職したいのなら、ファッション専門学校に必ずしも通う必要がないのです。
一般の4年制大学や短大からでも販売員としてなら就職が可能なのです。
実際にぼくは、安物の衣料品の販売店とはいえ、4年制大学卒業後に販売員として就職しましたし、このトップセラーの中にもファッション専門学校に通わずに販売員となった人も多くいます。
そうすると、学生やその保護者からすると「わざわざファッション専門学校へ行く必要がない」ということになります。それどころか、就職後に進路変更をすることを考えると、4年制大学や短大に通っている方が異業種へ転身しやすく「潰しが効く」とさえ考えられがちです。
その2つの原因でファッション専門学校への進学者数は少子化と相まって減り続けているのです。
もし、ファッション専門学校が自身の経営基盤を守るためにも、進学者数を増やしたいと考えるなら、外的要因はどうしようもありませんから、教育内容を現実に適して変えるべきなのです。
販売員の求人が多いのであれば、4年制大学や短大卒業者とは異なる、「さすがはファッション専門学校の卒業生」と企業をうならせるような販売員教育を確立するしかありません。
そのような自助努力がない限り、ファッション専門学校への進学者数が増えることはありえないでしょう。
[wpi_designer_button slide_id=2586]