かつてワールドやらオンワード樫山やらの業績が堅調なころはそれぞれ3000億円くらいの売上高があった。2005年ごろまではバブル崩壊不況と言われながらも、今から考えるとまだファッションに活気があった。
中略
ワールドとオンワード樫山の売上高合計は6000億円ほどしかなく、市場規模の6%程度の占有率しかなかった。90年代に働いていた者の回顧としては、それでも「大手の寡占化はすさまじいな」と感じていた。70年代や80年代のように(伝聞しただけ)マンションメーカーが巨大企業へ成長するなんてことは、この当時でもほとんどなくなっていた。それが今はどうだろうか。この当時とは比べ物にならないほどの寡占化が進んでいる。ファーストリテイリングの2ブランド(ユニクロとジーユー)としまむらの2社で国内市場の17%ほどを占めている。
Topseller執筆者の南充浩氏のブログ記事より抜粋。仰られるように、国内市場規模は下がっている昨今、大手企業の寡占化はどんどん進んでおります。僕が学生時代の頃がちょうど2005年ごろであり、その頃はまだワールドやオンワード樫山、ファイブフォックスなど百貨店アパレルが隆盛を誇っていた時期。当時の専門学校の講師も「ワールドを超えるアパレルはもう出てこない」なんて言っていた方もいらっしゃるくらいでした。当時からは考えられないくらい産業構造が変化し、ゾゾタウンのようなゲームチェンジャーが現れ、昨今のアパレルビジネスは高度化したと感じております。しかしこの大手の寡占化に対し、僕は個人的にポジティブに捉えております。
ユニクロを始め大手アパレルの年商はここ数年大きく伸びています。上位10社だけを比較してみても売上規模の差が顕著に違っているのです。アパレルの倒産件数はいまだ多いですが、僕はこれは業界にとって良い状況だと感じています。
「アパレル販売業」の倒産状況 (東京商工リサーチ)
プレイヤーの数が減ると負け組が少なくなる?
勝ち組が数字を伸ばし、負け組が淘汰され大手の規模が更に伸びる。買収などによって業界再編が進み、どんどんと寡占化が進む。勝ち組企業拡大していくと、そこで雇用が増え、力をつけて海外出店を加速させたりする。極端な話かもしれませんが、この状況が続けば幸せになる人間の数は今より多くなると思っています。
ファッションは現状誰でも参入できる業界ですが、これからはどんどん参入障壁が高くなってくるでしょう。あまり夢の無い世界かもしれませんが、そんな未来の方がファッション業界で働く人たちの労働環境は改善され、より良い人材が集まるのではないでしょうか。
もちろんインキュベーション的な機能は残したままが理想です。伊勢丹やルミネがやってるような、新しいブランドをプッシュしていく取り組みは大手とっても、小規模事業者にとっても必要な施策。経済合理性があるのですから無くなる事はないと考えます。
これからファッション業界で働く若い人たちの事を考えれば、今の状況が進む方がいいのかもしれませんね。