ファッションはわかりにくいと言われますが、そのわかりにくい原因の一つをアパレル業界が作り出しています。
素材や商品に関する「嘘表記」が横行しており、これによって消費者からの信頼度を大きく損なっています。
先日、ジーンズメイトの商品をインターネットで閲覧していると、メルトンと表記されたコート類が4型ほどありました。
定価9800円が4900円に値下がりしているので、安物好きの当方としては詳細を見ずにはいられません。
まず商品画像を見ると、それなりによさげです。
しかし、生地の風合いや表面感や厚さは画像ではわかりません。
ですから、組成の表示を見たところ、「ポリエステル89%・レーヨン10%・ポリウレタン1%」という表示でした。
いや、合繊100%ならメルトンちゃうやん。嘘書くなや。
こういう嘘表記は本当にどうかと思います。
景表法違反ではないでしょうかね?
メルトンとはウールの紡毛糸で織った生地を縮めてフェルト化させて毛羽をプレスしたものを指し、組成はウール100%もしくはウールにごくわずかの合繊を含んだもののみを指します。
合繊100%はどんなに見た目がメルトンと似ていても「メルトン」ではありません。
正しくは「メルトン風」「メルトンタッチ」「メルトンライク」と表記すべきです。
こういう嘘表記が店頭でもインターネット上でもまかり通っています。
このところ、AmazonやYahoo!ショッピングで商品を見続けていますが、レザー類とダウン類はこの手の嘘表記であふれかえっています。
ブルゾンやバッグには「本革」と表記されているのにえらく安い商品が多くあります。
これらのほとんどは合皮です。
大見出しに「本革」と書いてあるのに「商品詳細」を読むと「PU(ポリウレタン)レザー」とか「シンセティックレザー」などと書かれてあるものが掃いて捨てるほどあります。
これらはすべて「本革」ではありません。
これは確実に景表法違反です。
カシミヤ0%のセーターが「カシミヤセーター」と書かれていたら、これは嘘表記です。
かつてユナイテッドアローズがカシミヤ0%のマフラーをカシミヤ70%と表記して大きな問題となったことがありました。
これと同じです。
ダウンジャケット、ダウンベストも同様です。
通常は「ダウン〇〇%」とか「ダウン〇〇%・フェザー〇〇%」と表記されてあり、これは間違いなくダウンジャケット・ダウンベストと言えます。
最近ではダウン(羽毛)の高騰や入手量の減少などから、ポリエステルなどの合繊中綿が代替品として使用されることが増えています。
その際、まともなブランドなら「中綿ポリエステル100%」というような表記をしていますが、まともではないブランドも世の中にはたくさんあります。
そういうまともではないブランドは「ファイバーダウン」などの謎の表記をしています。
ファイバーは繊維ですので繊維の羽毛ってナンヤネン!って話です。
これは中綿を勝手に嘘表記しているのです。
消費者は、専門家の言うことを聞いて商品を選びます。
消費者から見て専門家であるメーカーや店が嘘表記をすることは消費者を迷わせ、消費者からの信頼を大きく損なうことになっているのです。
目先のわずかな売上高を稼ぐために嘘表記をすることで、アパレル業界全体の信頼性を大きく毀損しているのです。
それを認識していないブランドやメーカー、店は業界からさっさと退場させるべきです。