三越伊勢丹HDがついにセール開始日時を他百貨店並みの1月4日に戻しました。
セールの後ろ倒しに同調していたルミネは早々と昨年から冬のセールは正月に戻しましたから、ここ数年続いた「セール日程の後ろ倒し」論争はこれで終止符が打たれたことになります。
夏冬のバーゲンセール開始時期が年々早まり続け、2008年のリーマンショックによる不況を契機として、バーゲンセール日程はさらに早まりました。
これによって定価販売時期が極端に短くなり、三越伊勢丹に納入したり、ルミネにテナント出店しているアパレル各社はさらなる苦戦に陥りました。
この状況に少しでも歯止めをかけたいとの思いから三越伊勢丹とルミネは夏冬のバーゲンセール開始時期を2週間ほど後ろにズラすことを提案しましたが、残念ながら同調者は現れませんでした。
三越伊勢丹とルミネの主張も理解できなくはないですが、状況的にそれが成功することは難しかったといえます。
その最大の理由はウェブ通販というこれまでにない業態が成長していたからです。
ウェブ通販は基本的に誰でも見ることができます。
そして、ウェブ通販は容赦なく日々セールを行います。
逆に実店舗のように、魅力的な販売員がいるわけでも、雰囲気にひかれて来店するわけでもなく、ウェブ通販の目的は利便性のみです。
そして集客のもっとも効果的な手段は「値引き販売」です。
そのため、マス販路のウェブ通販サイトは必ずといっていいほどセールや割引クーポン(実質的にセール)で集客を行います。
ですから、ウェブ上には常にセール品がある状態となります。
また、ウェブでは他社の低価格品とも見比べることが容易です。
例えば、セール後倒しを唱えたルミネでさえ、ウェブ通販サイトのアイルミネでは今年も11月から早々にセールを開始しているのです。
自社サイトで早々と安売りしておきながら、どの口でセール後倒しを唱えたのでしょうか。
ルミネの社長の厚顔無恥さには恐れ入るばかりです。ネットスラングでいうなら「おまいう」でしかありません。
ウェブ上には年がら年中安売り品や低価格品があふれており、サイト内でのセールが四六時中行われている状況下において、実店舗だけでバーゲンセールの開始日時を後倒ししたところでどれほどの効果があるというのでしょうか。
当方なら間違いなくウェブで買っています。
また、たかだかバーゲンセール開始時期を2週間弱遅らせたところでどれほどの定価販売があったのでしょうか。
定価販売期間を延ばすというのなら、最低でも1か月は延ばす必要があります。
2週間やそこら、最終的には1週間程度の延期にするのであれば、そんなものは自己満足のパフォーマンスに過ぎません。
三越伊勢丹のセール後倒しは破綻すべくして破綻したといえます。