文化服装学院在学生がショー開催へ、クラウドファンディングで資金募集
キャンプファイヤー(CAMPFIRE)で、文化服装学院在学中の若手クリエーターによるファッションショー、展示ブース製作プロジェクトの資金募集がスタートした。目標金額は50万円で、募集締切は1月19日まで。
(中略)
調達資金は音響、照明、映像機材の設置費やポスター、インビテーションの印刷費などに使用。必要経費は120万円としており、残りの70万円は33名の学費から補填する予定だという。
文化服装学院が卒業制作ショーの資金調達をクラウドファンディングで募集。ファッションの専門学生がクラウドファンディングで資金調達をする事例は珍しく、学生にとって良い経験だとは思う反面、その内容に対しやや違和感があります。
プロジェクトは成功しなければ意味がない
今回のプロジェクトの目標金額は50万円で、学費から70万円を捻出し、トータル120万円でショーを開催するというもの。学生の目標金額として50万円はかなりハードル高いです。なぜなら、学生のネットワークで情報拡散できるのは同じく若い層が中心になります。自分たちのお金を担保するのに大変な若者たちが、他人の卒業制作ショーにお金をそこまで出してくれる人間が何人いるのでしょうか。そのあたりのシミュレーションは学校側が教えるべきですが、それがまず弱い印象があります。個人的には今回の取り組み、やる気のある学生さんの意思を汲んだのかもしれませんが、卒業制作ショーの資金は「学校側が頑張って出せばいいのでは?」と思ってしまいます。
支援する意味を考える
資金調達にはは「リターン」の設定が必要ですが、今回のリターン内容を見ていますと、例えば100000円支援したケースでは、
100,000円
・お礼の手紙 ・ファッションショーのDVD
・招待状(ショー特等席) ・出演モデルと撮影
・special thanksとしてお名前をパンフレット、ショーの映像のエンドロールに掲載
※企業様の場合は協賛企業として企業ロゴをパンフレット、ショーの映像のエンドロール、SNSに投稿閉じる
といった内容。
金額に対しての見返りが弱すぎる印象です。寄付文化のあまり無い日本では、リターン内容も重要になります。ファッション関連での成功事例で言えば、新商品開発などが多いのですが、それはその製品が誕生する事と、その製品自体を早く欲しいという人から資金を調達しています。ショーで資金を得るにはストーリー、リターンの双方をもっと強化しなければならなかったのではないでしょうか。
総じて何が言いたいのかと言うと、「学校側のサポートが弱い」という事です。とりあえず流行りだからやってみようというのはアパレル業界の悪い慣習と同様です。若者に必要なのはちょっとした成功体験です。手取り足取りやってあげる必要はありませんが、「これで成功するのか?」という批評と、突き詰めて考えさせる事。学校関係者は学校側としてやるべき事をやらなければ、せっかくの学生の経験が無駄になってしまいますよ。